【改正NPO法】初の抜本改正、ついに施行
4月1日、改正NPO法(特定非営利活動促進法)が施行された。これにより、認証・認定機関が所轄庁(都道府県・政令市)に移管され、「仮認定制度」もスタートするなど、初の抜本改正が実現した。
改正NPO法案は、超党派のNPO議員連盟が中心となり、2011年6月15日に参議院本会議にて全会一致で可決・成立した。法案には、NPO側が長年要望してきた内容が大幅に盛り込まれており、施行に向けて期待が高まっていた。
今回施行された改正NPO法により、法人格の制度である「NPO法人制度(認証制度)」と、税制優遇の制度である「認定NPO法人制度(認定制度)」の双方について、大幅な改正が行われた。
特に、認定NPO法人制度は、国税庁による認定NPO法人制度(旧認定制度)は3月31日をもって廃止され、所轄庁による新しい認定NPO法人制度(新認定制度)がスタートした。
また、都道府県の他、政令市(政令指定都市)が新たに所轄庁となり、認証・認定事務を行うこととなった。一方、内閣府は認証を行わなくなり、所轄庁では無くなった。また、旧認定制度の廃止に伴い、国税庁も新たな認定を行わなくなった。これにより、所轄庁の数は、4月1日に政令市移行した熊本市を含め、47都道府県+20政令市=67所轄庁となった。今後は、これらの所轄庁が自治事務として、認証・認定を担当していくこととなる。
※ただし、3月末までに認定申請した法人の審査や既存の旧認定NPO法人に関する監督等は、引き続き国税庁が担当する。
施行に伴う、主な変更点は以下の通り。
●改正NPO法施行による主な変更点●
◆NPO法人制度(認証制度)
・認証権限を都道府県・政令市へ⇒より身近な自治体での認証が可能に
・活動分野に「観光の振興」「農山漁村及び中山間地域の振興」「都道府県・政令市の条例で定める活動」の3分野を追加
⇒より多様な活動が可能に
・「収支計算書」を「活動計算書」に変更する等、NPO法人会計基準の採用⇒NPO法人の会計報告の正確性・信頼性を向上
・解散公告回数を削減し、届出事項を追加するなど認証の柔軟化・簡素化⇒NPO法人の事務負担を軽減、機動的な運営を可能に
・謄写(コピー)を可能にする他、インターネットを通じた情報公開を推進⇒市民によるチェックを強化、NPO法人の透明性・信頼性を向上
※また、代表権制限の定めのあるNPO法人は、登記手続きが必須となっているので注意が必要だ。
詳しくは下記ニュースを参照。
「【改正NPO法】多くのNPOが登記手続き必要に!」(2012/03/28)
◆認定NPO法人制度(認定制度)
・PSTが免除される「仮認定制度」を導入⇒現状が寄付金0円でも認定のチャンスが、仮認定も寄付金控除あり
・認定機関を国税庁から都道府県・政令市へ移管⇒身近な所轄庁で認定の相談・申請が可能に、民間のサポートも充実へ
・みなし寄付金制度を社会福祉法人並み(利益の50% or 200万)に拡充⇒事業収入(収益事業)による活動資金確保を支援
シーズが調べたところ、4月2日現在で約20の所轄庁が改正NPO法に対応した手引きや様式をホームページに公表できていないようだ。
改正NPO法施行条例の制定や内閣府による新手引きの公表が遅れたことが影響していると考えられるが、地域のNPO法人のため、早急な対応をお願いしたい。自団体の所轄庁の対応状況を、ぜひチェックしてほしい。
また、各所轄庁の対応状況や詳細な改正内容は、シーズでも順次報告して行く予定だ。
改正NPO法施行後の所轄庁一覧は、内閣府サイト内、下記ページを参照。
https://www.npo-homepage.go.jp/search/201204_link_pref.html
【御礼とお願い】
NPO議員連盟の国会議員の方々や所轄庁の方々をはじめ、改正NPO法の成立と施行にご尽力いただいた関係者の皆さまに、この場をお借りして、心より御礼を申し上げます。本当にありがとうございました。
また、シーズを支えていただいている会員や寄付者、支援者の皆さまにも、深く感謝申し上げます。誠にありがとうございます。
皆で起こした奇跡の結晶である「改正NPO法」は施行されましたが、実際の運用では試行錯誤の面も多く、制度の周知・普及もこれからが本番です。引き続き、ご支援・ご協力を何卒よろしくお願い申し上げます。