衆議院選、各党のNPO政策を比較する
シーズは、明日公示される今回の衆議院選挙における各政党の公約からNPOに関連する部分を抜粋して、各党のNPO政策についてとりまとめた。昨年、NPO法改正と寄付税制の大幅改革が行われたこともあり、NPO政策は例年より少なくなっている。
政策は、各政党のホームページに「選挙公約」として掲載されているものから、基本的にNPO・ボランティアに言及しているものを抜粋してある。ただ、選挙公約かどうか不明なものもあり、正確さに関しては十分とは言い難い。
政党の並び順は、ウィキペディアの並び順に従った。
NPOに関する政策は、むしろ、雇用政策や教育政策、規制緩和政策の中に入り込んでいるものが増えてきており、それだけを取り出せるものではなくなってきているが、はっきりしないものも多いので、NPO・ボランティアに明確に関連づけられるものに限定してある。
政策全体は、各党のHPを参照していただきたい。
■民主党
民主党のマニフェストでは、ほとんどNPOという言葉は出ず。
民主党のマニフェストは、「前書き」「民主党5つの重点政策」「マニフェスト政策各論」の3部構成からなる。
「前書き」部分で、「民主党の理念」として、「官から民へ、国から地方へ、「新しい公共」と地域主権を確立」としているが、「民主党5つの重点政策」にはNPOの文言はなし。
ただし、重点政策1の社会保障で「共に生きる社会」を掲げ、「支え合いの社会、すべての人に居場所と出番がある社会を目指します。」としている。
「マニフェスト政策各論」では、NPOについては一か所だけ。
「8.生活支援戦略、生活保護の不正受給の防止をすすめる」の中で「「生活支援戦略」により生活困窮者に対する生活支援を充実する。大のセーフティネットである求職者支援制度の活用、ハローワークや自治体のさまざまな相談機能の縦割りの解消、NPOなどとの連携などにより、社会復帰、早期就労など自立のための再チャレンジを支援する。」としている。
■自由民主党
自由民主党は「重点政策2012」というタイトル。
「前書き」「4つのアクション」「自民党政策BANK」の3部構成からなる。
「前書き」「4つのアクション」には、NPOへの言及はなし。
「政策BANK」の「地方の重視・地域の再生」の章があり、そこで、「「コミュニティ活動基本法を制定するとともに、NPO等新しい主体との協働を図ります。」としている。
■公明党
公明党は「衆院選重点政策」を政権公約として発表している。
これは「前書き」「7つの日本再建」「軽減税率」「当面する重要政治課題」の4部から構成されている。
NPOには直接言及はないが、「7つの日本再建」の一項目「地域の知恵を活かした健康づくりの推進」で「支え合いの地域力を活かした健康生活サポーターや健康推進委員の活動の推進、健康ポイント制度や会簿ボランティアポイント制度の導入など、地域の創意工夫を活かした健康づくり、介護予防を推進します。」とボランティアポイント制度の導入に言及している。
■日本未来の党
日本未来の党は、政権公約として「政策」という文章を発表。
6つの主要政策が掲げられているが、NPOに言及した文言はない
■みんなの党
みんなの党は「2012アジェンダ」を政権公約として発表している。
「2012アジェンダ」は、「前書き」と7つの「重点政策」から構成されている。
重点政策の「Ⅱ 成長戦略で経済復活!」では、「贈与税の軽減、寄付税制の拡大等を通じ、1500兆円の個人金融資産を活用する。」「「全額税額控除」の導入等、寄付税制を改革してNPO等の公益活動を活性化する。」と、寄付税制の促進に積極的姿勢が目立つ。
また、「障害者自立支援法違憲訴訟の基本趣旨に沿った障がい者施策を目指す。災害時に障がい者を孤立させないよう、地域NPO等と連駅して体制を築く。」「NPO等が貧困層対象のマイクロファイナンス(マイクロクレジット)を実施できるよう法改正・規制緩和を進める。」「NPOやボランティア活動を積極的に支援する。」と、経済政策の中でのNPOへの言及が多い。
重点政策「Ⅴ「地域主権型道州制」で格差を是正する!」では、「「新しい国のかたち」のもとでは、国、道州、基礎自治体の役割分担を明確に定めます。国が担ってきた仕事の多くは基礎自治体へと移譲されます。中央官庁は必然的に解体・再編され、官僚主導は終焉します。道州の役割は、基礎自治体では対応できないインフラ整備、災害対策等の広域行政です。一方、基礎自治体に代わって、民間のNPO等が仕事の一部を担います。」としている。
■日本維新の会
日本維新の会は「維新八策」「骨太2013-2016」という2つの公約を発表している。
ただし、「骨太2013-2016」に付属している、<政策実例>は、「政権公約ではない」とされているので、ここからは省く。
「維新8策」では「2.財政・行政・政治改革」において「行政のNPO化、バウチャー化→行政サービスの主体を切磋琢磨させる」としている。
■日本共産党
日本共産党は総選挙政策として「日本共産党の改革ビジョン」を発表している。
これは「前書き」と10の「重点政策」から構成されている。
ただ、いずれにもNPOに関する言及はない。
■社会民主党
社会民主党は「衆議院選挙公約2012」を発表している。
これは「社民党の決意」と13の「重点政策」から構成されている。
重点政策「2.サヨナラ消費税」では、「寄附金控除は、適用下限額(現行2000円)を撤廃するなど寄付金税制を引き続き拡大します。」と寄付税制の拡充に言及している。また、金融政策として「多重債務者の救済に向け、自治体の相談窓口の全国展開と体制強化、低所得者向けの生活福祉貸付金制度を拡充します。民間非営利組織(労金や生協、NPOなど)の活用による低利融資をすすめます。」としている。
「4.平和・国際協力」では、「ODAの質を確保するための「援助・開発効果」の考え方に立脚し、途上国の開発政策を尊重し、ODAの説明責任を強化し、他の援助国や国際機関・NGOあんどと強調して援助を行うなど、長期的な視点で国際社会の信頼を得られる援助外交を目指します。」としている。
「6.人間の復興」では、「被災者支援の担い手として大きな役割を果たしているNPOや民間支援団体に対する、継続的な財政支援を行います。」「大規模災害時の被災者受け入れ体制を整備するとともに、被災地へのボランティアに対する支援を強めます。」
「8.農林水産業再生」では、「自治体やNPO等とも連携し、農山漁村地域で再生可能エネルギー導入推進をコーディネートする人材の育成に努めます。」
「10.「地域力」アップで「創造的地域社会」の実現」では、「郵貯資金による低所得者や中小ビジネス、ベンチャー企業、再生可能エネルギー産業、女性の起業、NPO,ワーカーズコープなどへの投資・融資を推進します。」「日本版「地域再投資法」(金融アセスメント法)を創設し、民間金融機関に中小企業、NPO、ベンチャー企業、中低所得者層、女性などへの公正な融資を義務付けるとともに、金融機関の活動を評価し、地域雇用の創出、地場産業の育成、地域の活性化につなげます。」「地域社会や福祉、環境保全に貢献しているNPOバンクについては、貸金業法による厳しい財産要件やして信用情報機関制度の登録、運営などの諸規制を緩和します。市民活動を支え、社会に貢献する金融NPOを育成・支援します。」
「交通問題」では、「「買い物難民」問題の解決に向け、スーパーやコンビニなどの流通業者、地元商店街、自治体、バス事業者や鉄道事業者、郵便局や宅配業者、農協や生協、商工会や町内会、NPOなど多様な主体の連携を進めます。」
「自殺防止対策」では、「NPO団体の知恵や熱意を最大限にいかします。」としている。
重点政策「12.「子ども・若者・女性」人生まるごと応援」の章では、「自然と環境について親子で学ぶ機会を設ける学校・NPOを支援し、農漁村の子どもと都市の子どもが交流するプログラムの推進をはかります。」「「DV防止法」で努力義務が課された自治体の基本計画の策定を進め、DV施策を強化します。被害者の早期発見や適切な対応に向けた職員研修を拡充します。NPOなどが運営するシェルターや相談事業について支援を強化します。」としている。
重点政策の「13.地域から始まる「このくにのかたち」では、「「新しい公共」の推進に当たっては、NPOをはじめとする市民の自主的・自発的な活動や非営利・協同セクターと、「公」との対等なパートナーシップを大事にします。単なるコスト削減の「安上がりの行政」の手段や行政による下請け化、営利企業への開放とならないようにします。」としている。
■国民新党
国民新党は「2012政策集」という政権公約を発表している。
中身は「基本理念」と9つの「重要政策」から構成されている。
NPOに関しては、どちらにも言及はない。
■新党大地
新党大地は「基本理念」と「綱領」と「結党にあたってのステートメント」が発表されているが、政権公約かどうかははっきりしない。
いずれにもNPOに関する言及はない。
■新党改革
新党改革は「約束2012」とした政権公約を発表している。
この公約は5つの「改革」から構成されている。
「改革その1 日本経済の復活」では、農林水産業に関して、「日本の農林水産業の競争力を再認識し、海外への積極攻勢、販路拡大、養殖の活用、林業ボランティアにより、更に競争力を高めます。」としている。
■新党日本
新党日本は「新党日本マニフェスト2012」を発表している。
マニフェストは、「日本「改国」宣言」と「地上(じべた)十策」から構成されている。
この中に特にNPOに関する言及はない。
■みどりの風
みどりの風は「みどりの風政策集」を発表している。
この中で、4本の基本政策と11の主要政策が記載されている。
この11の主要政策の「4.消費増税を凍結し、真の社会保障改革を行います」では、「第二のセーフティネットの拡充にNPOを活用します」として、「失業者が生活保護に転落しないように、職業訓練等、第二のセーフティネットを拡充しNPOの人材を活用します。財源としては民間の休眠口座を検討します。」としている。
また「8.教育の再生に取り組みます」では、「ギャップイヤーの制度化」として、「会社や役所でのインターン体験、ボランティア活動、農林漁業体験、留学などのプログラムに参加、自己実現の場を多くの社会体験から見つけられるようにします。」としている。
■沖縄社会大衆党
沖縄社会大衆党は、「2012年度基本政策」を発表している。
その中で「7つの基本政策」が記載されている。
この中にNPOに関する言及はない。
■改革の志士
改革の志士は「改革の志士の「志」」として5つの公約を発表している。
この中には、NPOへの言及はない。
■幸福実現党
幸福実現党は「3つの約束」を発表している。
この中には、NPOへの言及はない。