行政 : 政府の緊急雇用対策全文
政府が6月11日に取り決めた緊急雇用対策の全文は、以下の通り。
NPOに関する施策の概要も掲載されている。
緊急雇用対策及び産業競争力強化対策について(案)
平成11年6月11日
産業構造転換・雇用対策本部決定
(1)我が国経済は、民間需要の回復力が弱く、雇用情勢が厳しさを増すなど、依然として極めて厳しい状況にあるが、緊急経済対策等各般の政策効果に下支えされ、公共投資が堅調な動きとなり、住宅建設が持ち直してきているなど、景気は下げどまり、おおむね横ばいで推移している。
これらの動きを力強いものとし、雇用不安を払拭し、我が国経済の再生に結びつけるとともに、自律的な成長軌道に乗せるためには、需要面での対策はもとより、雇用対策及び経済の供給面における体質強化に思い切った対策が求められている。 特に、雇用情勢が厳しさを増す中で、勤め先や事業の都合といった非自発的理由による失業者数が過去最高となっており、雇用問題への対応は最重要の緊急課題である。
(2)第一に、緊急を要する雇用問題については、雇用機会の創出を最大の柱とし、規制改革等による新たな事業の創出、成長分野における雇用創出を図るとともに、臨時応急の措置として、国及び地方公共団体においても、雇用・就業機会の創出を図る。この場合、過去の失業対策事業の弊害を避けるべきことは言うまでもない。
また、就職能力の向上や雇用のミスマッチの解消、人材移動の円滑化を大胆に進めるため、民間及び市場の機能を最大限活用し、個人の自主選択を重視する雇用政策への新たな展開を図る。
このような考えに基づき、厳しい雇用情勢の影響を強く受けている中高年齢者を中心にした非自発的失業者や学卒未就職者を重点に、(1)民間企業による雇用の創出と迅速な再就職の推進、(2)国、地方公共団体による臨時応急の雇用、就業機会の創出、(3)人材資源の活性化、(4)雇用保険の改革などの施策を積極的に推進し、社会全体として雇用のセーフティネットの構築を図ることとする。
(3)第二に、我が国経済の自立的発展を図るため、経済の供給面での体質強化を図る産業競争力強化対策を強力に推進する。
このため、新規・成長産業の振興、未来産業の創造に向けた新規技術開発の活性化、創造的な中小企業・ベンチャー企業の振興など、我が国経済をリードする生産性の高い産業分野の創出を図る。
他方、当面の問題である過剰な債務・設備等の問題は、企業自身の責任により、自らの事業を再構築することが基本であるが、モラルハザードを回避しつつ、我が国経済全体の生産性を高めるとの見地から、企業の自助努力を円滑化するための環境整備を進める。
なお、産業競争力会議は現在産業競争力の強化に向けての取組を検討中であり、今後の検討の進捗に応じ、更に対応を検討することとする。
このような基本的認識に立ち、政府は、以下の対策を内容とする緊急雇用対策及び産業競争力強化対策を協力に推進することとする。
・緊急雇用対策
今般の対策においては、これまで実施している雇用活性化総合プランにおける各般の取組を更に拡充、推進するため、厳しさを増す雇用失業情勢の影響を特に強く受けている中高年の非自発的失業者に焦点を当てつつ、70万人を上回る規模(今回発動要件の緩和を予定している緊急雇用創出特別基金の対象人員20万人を含む)を対象とした雇用・就業機会の増大策を実施することとする。こうした雇用・就業機会増大に向けた取組を進めるほか、就職支援施策の対象を10万人拡充し、再就職促進の取組をより確実なものとする。これらのほか、規制改革、新規開業支援、緊急少子化対策等により、新たな雇用・就業機会の増大が見込まれる。
1.民間企業による雇用の創出と迅速な再就職の推進
規制改革や新規開業支援等により新たな事業の創出を通じて雇用機会を増大させるとともに、民間企業による緊急の雇用創出を図る。また、民間を主体にして、人材移動を円滑化させ、人材の有効活用を図る。