行政 : 民主党が特定公益増進法人制度の検討を発表
民主党は、11月5日、「特定公益増進法人の認定及び寄附の実態に関する予備的調査」の結果を公表した。
民主党は、この結果をもとに、特定公益増進法人制度の見直しに着手するとしており、党内に「NPO税制」検討ワーキング・グループ(座長・金田誠一)を設置したとしている。
予備的調査に関するプレスリリースは以下の通り。
「特定公益増進法人の認定及び寄附の実態に関する予備的調査」
(山本孝史外41名提出、平成11年衆予調第2号、平成11年8月13日 内閣委員会命令)
調査結果の速報
平成11年11月5日
民主党NPO委員長 岡崎 トミ子
予備的調査提出者 山本 孝史
NPO法人への寄附金税制の在り方について検討するため、特殊法人と民法法人にかかわる、特定公益増進法人制度の現状と有効性についての、標記調査を8月13日付で依頼し、本日、回答を得ました。対象となる法人のうち、国(各省庁)の所管する578団体について、傾向を把握するために簡単な集計を行いましたので、「速報」として発表します。
1 十分に活用されていない「特定公益増進法人」制度
「特定公益増進法人」制度は、企業などの法人には一般寄附金とは別枠での損金参入が、個人には寄附金の控除が認められる貴重な制度ですが、十分に活用されているとはいえません。
1996(平成8)年度から98(平成10)年度までの3年間に、寄附が1件もなかった法人が40法人あり、同じく1,000万円未満のものを合計すると102法人(有効回答の18.1%)にも達します。(寄附ゼロの40法人のうち15法人は、収入の30%以上を国などからの補助金に頼っています。)
同様に、3年間での寄附件数の合計が100件に満たない法人が365団体(64.9%)もあります。
制度の趣旨に照らせば、より多くの人々に会費や寄附の形で公益活動への資金提供を促すべきです。また、このような寄附金額・件数でも特定公益増進法人として税制での支援を受けられるとすれば、同様水準以上の公益法人やNPO法人にも税制支援がなされるべきと考えます。
2 「特定公益増進法人」の初承認年次別団体数
特定公益増進法人と、初めて承認された年次別に法人数をみると、89年に50件を記録し、前後2年間も高い水準ですが、ここ3年は年間10件程度です。バブル景気を背景としていると思われます。
3 あいまいな「会費」と「寄附金」
「会費」と「寄附金」の性格があいまいになっている様にみうけられます。税制での支援策を検討する際の課題のひとつと考えます。
4 「特定公益増進法人」と官庁出身者
合計約3,400人もの官庁出身者が、役員・職員として在籍しています。役員の多くは非常勤ですが、特殊法人では役員の40%を、財団・社団でも17%程度を官庁出身者が占めています(全公益法人では4.2%)。
● 「NPO税制」検討ワーキング・グループの発足
この報告書はのべ約12万項目、約2,000ページに及ぶ膨大な資料であり、今後さらに検討を加え、特定公益増進法人制度の見直しやNPOへの税制支援策の創設に活用したいと考えます。
このため民主党では、「NPO税制」検討ワーキング・グループ(座長・金田誠一)を設置しました。
以上