行政 : NPO法人が介護保険事業の課税措置に対し要望
先に4月6日に当ホームページで報じた、介護保険事業を行うNPO法人に関する課税措置に関して、本日(4月19日)、介護保険事業を行うNPO法人および支援団体の代表が、丹羽厚生大臣および宮澤大蔵大臣あてに、NPO法人の「指定居宅サービス事業」課税扱いについての緊急要請を行った。
厚生省は、老人保健福祉担当者が、大蔵省は、税制第一課(法人税課)が、この要望書を受け付けた。
この要請は、全国から寄せられたNPO法人・市民団体等279団体の連名で行われた。この要望書の取りまとめは、さわやか福祉財団が行った。また、要望者は、厚生記者クラブにおいて記者会見を行った。
厚生省の老人保健担当者は、申し入れに対し、今年の8月に大蔵省に提出する税制改正要望に、NPO法人が行う介護保険事業について課税除外の措置を講ずることを要望事項とすることは、今後の一つの検討課題となるという回答をした。
また、大蔵省は、基本的には、介護保険は厚生省の所轄であるので、8月の厚生省からの税制改正の要望を受けて、検討する内容であるという認識を示した。
今後、NPOサイドとしては、厚生省に対して、要望行動を続けていく必要があるだろう。
なお、この要請行動は、全国の仲間を代表して、以下のメンバーがあたった。
- 市民互助団体全国協議会事務局長 田中尚輝
- NPO法人アビリティクラブたすけあい理事長 薦田美智子
- NPO法人アビリティクラブたすけあい理事 香丸真理子
- 神奈川ワーカーズ・コレクティブ連合会事務局 菅原順子
- NPO法人たすけあいあさひ副理事長 柳原真理子
- シーズ・市民活動を支える制度をつくる会事務局長 松原明
- 特定非営利活動法人日本NPOセンター事務局長 山岡義典(代理)治田
- さわやか福祉財団ふれあい社会づくりグループリーダー 奈良環
また、厚生省に提出した要望書は以下の通り。
2000年4月19日
丹羽雄哉 厚生大臣 殿
<緊急要請>
NPO法人の「指定居宅サービス事業」課税扱いについて
私たちNPO法人・市民団体等285団体は、以下の理由により、NPO法人が介護保険の「指定事業」を行う場合に、収益事業として課税されるべきではないと考え、緊急に要請します。
1.NPO法人の介護保険事業者に課税すべきではない。
「介護保険法」にもとづくサービスにNPO法人が参入できることになったが、これらの事業に関して課税すべきではない。
介護保険のサービスは、これまで行政が直接、ないしは、社会福祉法人等に委託して実施していたものを民間事業者も担えるようにしたものであり、営利を目的とせず、その目的からしても社会的に果たす役割からしても、従前と同じ扱いとされるべきであり、NPO法人が課税とされる理由はない。
2.NPO法人を社会福祉法人と差別する合理的根拠はない。
現在、検討されている案によれば、社会福祉法人には課税せずNPO法人については課税するということである。
しかし、介護保険のサービスについては、法人格の如何を問わず提供するサービス内容は同一であり、かつ「介護報酬」も同じ条件である。また、NPO法人は社会福祉法人と同じく非営利・公益を旨とした活動であり、税について差別する根拠はない。ことに社会福祉法人にはNPO法人にはないさまざまな特典を付与している現状にあり、その上、社会福祉法人は非課税、NPO法人は課税、というのでは合理性がない。
3.NPO法人は非営利・公益活動の推進を進める団体であり、より大きな社会的支援が必要である。
介護保険サービスにおいて、実態からして「介護報酬」が低額に抑えられている家事援助サービスや、公的援助がほとんどない介護保険の枠外サービスはNPO法人を中心とするボランティア団体や市民団体が担っている。こうした団体は、税制上の優遇措置などによって社会的に支援すべき存在であって、これと逆行することは誤りである。
以上
この件に関する問い合わせ先は
- 市民互助団体全国協議会 田中尚輝 電話 03(3431)5077
- さわやか福祉財団 奈良 環 電話 03(5470)7751
- さわやか福祉財団 奈良 環 電話 03(5470)7751