行政 : 東京都が包括補助金で自治体のNPO支援策を支援
東京都は、東京都下の区市町村対象の新しい包括補助金制度として「高齢者いきいき事業」
を創設すると、6月12日発表した。
これは、「すべての高齢者が安心していきいきと暮らせる社会を実現するため、地域福祉推進
の主体である区市町村が、地域の実状に合わせて主体的に事業を展開できる」ことを目的とする
もの。
区市町村が実施する事業や委託事業、区市町村によるNPO等への補助事業(補助金の拠出)など
に対して、都が、原則2分の1の費用を補助するもの。今年度は、総額30億円の予算を準備して
いる。
補助する事業のメニューとしては、
◇共通事業
すべての区市町村の取り組みが望まれる事業
◇選択事業
事情に応じて、区市町村が選択して実施する事業
◇独自事業
区市町村が独自に企画して実施できる事業
◇先駆的事業
新たな課題に先駆的に取り組む事業
の4種類からなっている。
このうち、NPOに特に関連するものとしては、
「共通事業」の中に「高齢者の社会参加の仕組みづくり」があり、
これは、
「知識・技術・経験等を持つサラリーマンOB等の元気な高齢者とそれを必要とする団体等を
結びつけるしくみづくりの事業である」とされている。
6月13日の日経新聞などでは、この事業で想定されるメニューとして、
「企業などを退職した高齢者と人材の必要な非営利組織(NPO)を橋渡しする『人材バンク』」
の設立が想定されるとして、今後、都下の各市区町村にこのような『人材バンク』が設立される
と報じている。
日経新聞によれば、
「人材バンクは職業紹介ではなく、高齢者のボランティアや社会参加の受け皿として、今年度中
に区市町村が設立または検討する。地域活動に興味のある高齢者が経理や語学などの知識、技術や
経験内容を登録する。NPOなどの団体も欲しい人材を登録し、区市町村の人材バンクがそれぞれの
希望を結びつける。」
と、事業内容を想定している。
ただし、都の担当者によれば、この「高齢者いきいき事業」は、
事業メニューの趣旨に合っていると区市町村が考える事業を、区市町村が企画して都に申請。
認められれば補助される形式となっている。
区市町村がどのような企画を出してくるかは今の段階では不明なため、
どのような事業が行われるかについては分からないとしている。
また、「選択事業」の中には
「地域の共助活動を促進するために、NPO等の地域団体が行う生活支援事業等の具体的な事業
に対して、区市町村が補助する場合に、支援する。」
としている。これは、区市町村がNPOに補助金を出すような制度を作った場合、その2分の1
を補助するもの。都下の区市町村のNPOへの補助金が増えていくのかどうか注目される。
それ以外のメニューでも、自治体のアイデア次第では、NPO向きの施策に対する補助がされる
仕組みとなっており、自治体の企画や積極性が問われることになるだろう。
都は、今年度、老人福祉手当などを段階的に廃止するなど、現金給付型の福祉政策を抜本的に
見直し、福祉施策の担い手を区市町村に移管しつつある。
また、高齢者が要介護状態になるのを予防することを重要政策としており、
日経新聞によれば、都は
「高齢者に積極的に社会参加してもらうことで、要介護状態になるのを防ぎ、団体の人材不足
も解決する」と説明しているという。
区市町村などからのヒアリングは、7月ころから実施される見込みであるとされ、企画が
具体化してくるのは夏過ぎではないかと予想される。
「高齢者いきいき事業」の詳細は、都のホームページを参照。
http://www.metro.tokyo.jp/INET/KEIKAKU/SHOUSAI/70A6D100.HTM