行政 : 国民生活審議会~堀田氏の投稿に委員長が反論
5月29日付けの神奈川新聞紙上で、堀田力氏(さわやか福祉財団理事長・国民生活審議会NPO制度委員会委員)が、『「優遇措置」なぜ主張しない』として、事務局の経済企画庁国民生活局に対する批判を投稿した件(5月31日付シーズのニュースで紹介)に対して、7月4日付けの神奈川新聞紙上に、国民生活審議会のNPO制度委員会委員長の川井健氏(帝京大学法学部教授)が、「堀田力氏の投稿に答える」という反論の投稿を掲載した。
反論は、川井氏が、「読者に誤解を与えないで欲しいという趣旨で、(堀田氏の)投稿の誤りを指摘しておきたい。」という前置きを置いてから、堀田氏の投稿について以下の批判を展開している。
まず、堀田氏が、多くの委員が求めたにもかかわらず、中間報告が「税制優遇措置を主張していない」という点について、川井氏は「中間報告書は、NPOに税制優遇措置を認めることが必要であるという共通認識のもとに、そのためにはいかなる要件が必要かという検討を行っている。」とし、「税制上の優遇措置の付与については、相当の公益性を有するNPO法人に限って行われ、公益性や適正な業務運営について周到な審査が必要だとし、その審査の方法についても、言及している。」と述べている。
ただし、「委員会には税法の専門家の委員も構成員となっているものの、委員会が税制の専門家集団とはいえないため、委員会は基本的考え方を提示するにとどめ、具体的基準等は、他の税制関係の審議機関にゆだねることにしている。」としている。
また、「法人格の付与を届出制にすべきである」という委員の声や都道府県の多数の声を中間報告書は無視しているという堀田氏の主張に対して、川井氏は、中間報告書は「認証については、委員会で多様な意見があったものの、(中略)、現時点では、届出制に近い認証制度でいくのはやむをえないという立場をとっている。」としている。
また、事務局の経済企画庁が委員の声を十分聞かなかったという堀田氏の批判に対して、川井氏は、「(中間報告書の)案をまとめるに当たっては、委員会での発言を検討し、委員長の指示のもとに事務局で作成した原案を委員会に示し、活発な議論をお願いした。さらに期限を定めて、各委員に修正文の提示をお願いし、委員の発言や修正意見を取り込んで修正をし、この案は委員会で承認された。」として、議事進行の正当性を主張。
「堀田委員は、この未発表の(中間報告書)案に基づく批評を新聞紙上に投稿されたのであるが、そのことについては、一定のルールのもとに運用されている会議体のあり方として、委員長として戸惑いを禁じえないことを申し添えておく」と、堀田氏の新聞への投稿行為をルール違反だとしている。
なお、堀田氏の投稿は、もともと委員会の事務方責任者である金子国民生活局長に当てられたものであるが、金子委員長は、川井氏の投稿が発表される前の6月いっぱいで、国民生活局長を辞め、退任している。
川井は、投稿の最後を「中間報告が公表された現在では、各界における活発な議論を期待する。」と締めくくっており、堀田氏サイドとしても、国民生活審議会の審議経過についてこれ以上議論を拡大する気はないようだ。
今後は、中間報告書が公表されたこともあり、NPO支援税制の議論は、生活審議会でというよりは、市民全員にボールが投げられたと言えるだろう。