行政 : 宮澤大蔵大臣「来年度からのNPO税制の実現を検討」
9月29日行われた参議院予算委員会において、NPO支援税制に関する質疑応答の中で、宮澤喜一大蔵大臣が、「NPO法人への寄附金減免税について、来年度から実現に入ろうと検討している」という趣旨の答弁を行った。
これは、江田五月参議院議員(民主・新緑風会)が、「民主党はNPOに対する寄附の所得からの控除とか事業税の減免とかのNPO活動促進税制を実現すべきと考えますが、宮澤大蔵大臣いかかですか。」と質問したことに対する宮澤大蔵大臣の答弁。
宮澤大蔵大臣は、「NPOが社会の活性化に貢献してきている。今後ますますそうであろうというふうに考えますので、基本的には、今おっしゃいましたような行政に入らないと考えていまして、実は、つい先日、事務当局に対して、来年の税制改正および税務行政の問題として、このNPOの寄附金減免税を実現に入ろうという指示をいたしました。」と発言した。
さらに続けて、「ただ国税の寄附金減免ということをいたしますとやはり一つの基準を設けざるを得ない。それからそういう公益性にマッチした処理をしてくれる事務能力も先方に必要であると思いますので、経済企画庁、各省庁、大蔵省、国税庁、一緒になりまして、適当と思われるところからそれに対する寄附金の法人・個人の減免税について、来年から行政に入りたいと考えております。」と述べた。
また、税制優遇措置の認定の基準となる「公益性」の判断に関して、江田議員が「おおらかに見て欲しい」と要望したのに対し、宮澤大蔵大臣は、「政府に都合のいいものだけが公益にかなうという考え方はしません。」と答えた。
さらに、この認定の基準に関して、堺屋太一経済企画庁長官は、「どういう基準でこの公益性を判断していくのか、税制というものをつけていくときに、この基準を、ソーシャル・サポートの方法とかいろいろございますけれども、どうしていくか、これから鋭意、大蔵省と打ち合わせて検討していきたい」と答えた。
これを受けて、江田議員が、「税のことについては、控除の問題と、減免の問題がある。公益性の判断については、上から見るのではなく、ソーシャル・サポート、どれだけ社会によって支えられているか、これで見ていけばという見方もあると思います」と賛同する意見を表明した。
これにより、NPO法人に対する寄附金の減免税については、来年度から実施される方向性が出てきたが、NPO法人への課税の軽減や、税制支援措置の対象となる認定の基準など、まだ方向性が明確でない課題も大きい。
とりわけ、認定に用いられる「公益性の基準」に関しては、大蔵省関係者が「(税制優遇措置を)しようと思っても、(制度が)できるかどうかが問題」というように、設計が難しい問題とされている。
今後は、法人課税と、基準の設計を焦点に、税制支援措置の議論が進んでいくと考えられる。