行政 : NPO法人にも課税?自治省の外形標準課税案
21日、自治省は、赤字企業にも広く法人事業税をかける外形標準課税の導入案を発表した。
これは、現行では、法人の所得額に一定比率をかけて課税している都道府県税である法人事業税を、所得基準部分(つまり所得割)と事業規模額を基準とする部分(いわば事業規模割)の合算に変更するというもの。
法人住民税が、均等割部分と所得割部分の合算から計算されているのと同じ仕組みで、赤字法人でも、事業規模額を基準とする部分が課税されることになる。
課税額は、資本金1000万円未満の法人は、最大でも年4.8万円となる。
一方、所得基準(所得割)の部分は、課税率は現行の2分の1に引き下げられる。
導入予定時期は、大法人では、2002年度から。資本金1000万円未満の法人を含む中小法人では、2004年度からとなっている。
この新たな外形標準課税の対象となる納税義務者としては、「都道府県に事務所又は事業所を設けて事業を行う普通法人」とされており、この「普通法人」には、現状では、NPO法人を含む公益法人等は除外されている。つまり現状では、NPO法人は課税対象とされていない。
ただし、「公益法人等、特別法人及び人格のない社団等については、特殊法人等改革の状況等を踏まえつつ、外形標準課税のあり方等についてすみやかに検討し、結論を得る。」としており、課税対象から完全にはずされることが決まったというわけではないので、今後の検討で課税対象とされる可能性がある。
現行の法人事業税自体は、普通法人もNPO法人も公益法人も等しく課税となっており、課税の公平性や税収確保という視点などから検討されていくと「課税」となる可能性も予想される。
自治省では、赤字が継続する法人や実施当初には、猶予措置や税率の軽減などの緩和措置も講ずるとしているが、今後の動きを注目していく必要がある。
この外形標準課税案には、経済界などから強い反対が表明されており、すんなりと導入となるかどうかも不透明である。
本格的な議論は、来年度の税制改正時(来年の年末)に行われる予定だ。