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2000年11月14日 10:00

行政 : NPO促進税制有識者会議が提言発表

 

 

 NPO促進税制に関する有識者会議」は、11月10日午後1時半、法曹会館(東京・千代田区)で記者会見を行い、「NPO活動を促進するための税制実現に向けての提言~新しい世紀に『新しい公共』を創造するために」を発表した。

 「NPO促進税制に関する有識者会議」は、堀田力氏(さわやか福祉財団理事長)が呼びかけ、堀田氏のほか、跡田直澄氏(大阪大学大学院国際公共政策研究科教授)、雨宮孝子氏(松蔭女子大学経営文化学部教授)、出口正之氏(総合研究大学院大学教育研究交流センター教授)、林雄二郎氏(日本NPO学会会長)、早瀬昇氏(大阪ボランティア協会事務局長)、本間正明氏(大阪大学大学院経済学研究科教授)、松原明(シーズ=市民活動を支える制度をつくる会事務局長)、山内直人氏(大阪大学大学院国際公共政策研究科助教授)、山崎美貴子氏(東京ボランティア・市民活動センター所長 明治学院大学教授)、山岡義典氏(日本NPOセンター常務理事・事務局長)が発起人となっている会議。

 個人の立場から、NPO支援税制の実現を目指すことを目的としている。

 記者会見には、発起人から、堀田氏、出口氏、林氏、松原、本間氏が出席した。

 会見では、まず堀田氏が「NPO促進税制が認められることは、大げさに言えばこれから日本国民が主体的に生きていく鍵になる」と税制の実現を強く訴えた。また、その内容に関しては、「行政主導の考えではなく、新しい公共概念、すなわち市民公益の実現・促進に向けて早期に制度が確立されること」を期待し、「官の動きに憂える者が集まって提言するものである」と主旨を説明した。

 続いて、出口教授が提言の要旨を読み上げた。

 林氏からは、「役所サイドで考える『公益』の概念と、市民サイドで考える『公益』の概念は違う。先見性と先験性の二つの『せんけんせい』を、民間活動の中で認めていく必要がある」と述べた。

 本間氏は、「税制を専門にしているが、パブリックセクターを論じている者がなぜ促進税制を提言するのかといえば、多様な公益性が重要であることから、例外的にNPOには減税を求めていくというスタンスである」として、NPO促進税制の重要性をアピール。

 一方で、従来からの公益法人税制にも触れ、「NPO法人への税制優遇は早期に実現しなければならないが、次のステップとしては、多様な公共性を追求できるよう制度化されたNPO(公益法人など)との整合化をはかるべきである」と述べた。

 出口氏は、「米国では、1998年、1700億ドルの寄附金が出されている。日本円でいうと18兆円くらいになる。NPOは市民のエージェントとして、社会の幅広い公共を実現している。日本でも、新しい公共を実現できる税制が生まれると、社会に大きな影響を与えるだろう。」と述べた。

 この提言は10日午前宮澤大蔵大臣(秘書)および堺屋経企庁長官(秘書)に提出、またNPO議員連盟各党にも提出する予定となっている。

 10日現在、156人の賛同者を得ている。提言の要旨は以下のとおり。


                        2000年11月10日

     NPO動を促進するための税制実現に向けての提言
     ‐新しい世紀に「新しい公共」を創造するために‐

 私たちは、NPO法人活動を促進する税制の創設が不可欠であると考えます。
 また、その検討においては、別紙のように「官主導ではない、新しい公共概
念、すなわち市民公益の実現・促進に向けて早期に制度が確立されること」を
期待し強く提言いたします。

                 「NPO促進税制に関する有識者会議」

発起人

跡田直澄 (大阪大学大学院国際公共政策研究科教授)
雨宮孝子 (松蔭女子大学経営文化学部教授)
出口正之 (総合研究大学院大学教育研究交流センター教授)
林雄二郎 (日本NPO学会会長)
早瀬 昇 (大阪ボランティア協会事務局長)
本間正明 (大阪大学大学院経済学研究科教授)
松原 明 (市民活動を支える制度をつくる会・シーズ事務局長)
山内直人 (大阪大学大学院国際公共政策研究科助教授)
山崎美貴子(東京ボランティア・市民活動センター所長 明治学院大学教授)
山岡義典 (日本NPOセンター常務理事・事務局長)
堀田 力 (さわやか福祉財団理事長)

賛同者    156名一同(賛同者一覧ご参照)

      NPO活動を促進するための税制実現に向けての提言
      ‐新しい世紀に「新しい公共」を創造するために‐
               NPO促進税制に関する有識者会議発起人一同

<エグゼクティブ・サマリー>
 NPO法(特定非営利活動促進法)が施行されてから、本年11月末で丸2
年が経過します。NPO法の付帯決議において、施行から2年以内に税制を含
めて見直しの検討をすることとなっており、現在、政府やNPO議員連盟、各
政党などで検討が進められている状況でもあります。
 私たちは、この検討において、NPO法人の活動を促進する税制の創設が不
可欠であると考えます。また、その検討においては、以下に述べるように「官
主導ではない、新しい公共概念、すなわち市民公益の実現・促進に向けて、早
期に制度が確立されることを期待し、強く提言するものです。

1.促進税制の目的

 NPO法人の活動を促進する税制の目的は、「社会が求めているNPO活動
をどうすれば育てていけるのか」という創造的発想に基づく必要があります。
 求められるNPO活動とは、「市民の自発性と多元的価値観に基づいた
(=行政とは異なる)、営利を目的としない(=企業とは異なる)、不特定多
数の者の利益を目的とした活動であり、かつ、組織・活動の透明性と市民の自
由な参加の方法を備えていけるような活動」です。

2.促進税制の要件

1)認定基準
 NPO促進税制の認定基準としては、市民の自発性とチャレンジ精神に基づ
いた多元的な活動を育めることを前提とした客観的な基準をつくる必要があり
ます。この基準を満たしていくためには、寄付やボランティア活動による支援
の広さを勘案すべき(たとえば米国のパブリックサポートテスト等を参考とし
た日本型版の作成)です。

2)その他の要件
 さらに、促進税制の認定を受けたNPO法人にあっては、適切な運営を確保
していくために、市民監視のための徹底した情報公開を義務づけること、役員
や職員の給与の金額を公開させること、財産の私的な流用を厳しく禁ずること、
望ましい認定機関の設置など、NPO法よりも一段と明確で高い基準を設定し
ていくことです。

3.促進税制の内容
 NPO活動への税制促進策においては、企業と課税の公平性を図りつつ「寄
付者への税制優遇措置」と「特定非営利活動に係る事業に対する法人税の減税」
といった大きくは2つの施策を実現することです。

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