行政 : 宮城県がNPO法人への県民税優遇措置拡大へ
宮城県では、NPO法人格取得の促進を図るために、NPO法人に対する県税の優遇措置を拡大すると発表した。6月の県議会に条例案を提出する予定だという。
今回検討されている措置で注目されるのは、新たに設立されたNPO法人が、設立後3年以内で、法人税法上の収益事業が赤字決算の場合、法人県民税の均等割を免除するとしたことである。同県では、これまでに県税の減免条例に基づき、法人県民税の均等割については、法人税法に規定された収益事業をしないNPO法人に限り課税を減免していた。
また、不動産取得税と自動車取得税に関しては、NPO法人が無償で取得した場合には、自動車税や不動産取得税を免除するとしている。ただし、介護保険事業などの福祉サービスにおける自動車税や自動車取得税、ナショナル・トラスト活動を行う場合の不動産取得税に関しては、無償でなく取得しても免除するとしている。
宮城県内には現在78のNPO法人があり、その内、福祉やナショナルトラストを担う法人は20法人である。県では、今回の優遇措置の拡大により免除される税の合計は約200万円と想定しているという。
今回、議会条例提案の県税の特例は、地方税法の第6条(公益等に因る課税免除及び不均一課税)の「公益その他の事由に因り」の規定に根拠をおいている。この「公益上その他の事由」の「事由」をより明確にして特例を設置しようとするもの。
これにより、今後市町村にもこの優遇措置が波及効果を期待しているようだ。
県が発表したプレスリリースは以下の通り。
特定非営利活動法人(NPO法人)に対する県税の優遇措置の拡充について
総務企画・環境生活委員会
平成13年4月20日
総務部
1 優遇措置の現状について
NPO法人に対する税制上の優遇措置の現状は、法人県民税の均等割りついて、法人税法にきていされ
た収益事業を行わないものについてのみ課税を免除している。
2 優遇措置の拡充について
(1) 全てのNPO法人を対象として優遇策を講じ、併せて法人格取得を促進する。
1)法人県民税均等割
収益事業を行うNPO法人について、収益事業における益金の額が損金の額を超えない事業事業年度
に関わるものに限り、NPO法人が県民税を申告納付すべき最初の年度以降3箇年度を限度とし、法人
県民税均等割を免除する。
2)不動産取得税
NPO活動の用に供するための不動産を無償で取得した場合、不動産取得税を免除する。
3)自動車取得税
NPO活動の用に供する自動車を無償で取得した場合、自動車取得税を免除する。
(2) 福祉を担うNPO法人を対象とし、活動支援のために優遇策を講じ、併せて法人格取得を促進する。
○自動車税及び自動車取得税
介護保険法第7条第5項の居宅サ-ビス事業の指定を受けるなど福祉サ-ビスを提供する活動の用に
供する自動車を保有・取得した場合、自動車税及び自動車取得税を免除する。
(3) ナショナル・トラスト活動を行うNPO法人を対象とし、活動支援のために優遇策を講じる。
○不動産取得税
環境の保全を図る活動の一環として、その自然環境の保存及び活用に関する業務を行うNPO法人が、
指定地域内において自然環境としてほぜんすべき山林等を取得した場合、不動産取得税を免除する。
3 平成13年6月議会提案予定
※松原のコメント
宮城県が、他県に先駆けて、NPO法人の設立支援のために、収益事業をしていても、県民税均等割の減免という方向を打ち出したことは、地方自治の観点からも高く評価できる。他の自治体も参考にしてほしい。
しかし、一方で、なぜ、福祉やナショナルトラストに限定して、手厚い優遇策となったのかには疑問が残る。NPO法においては、市民の多様な価値観を尊重することが重要であって、行政が、活動内容で差別を設けるのは好ましくない。