行政 : 日経連、雇用対策で「NPO支援税制拡充を」
日経連(日本経営者団体連盟)は、8月2日、「緊急雇用対策プログラム」を発表した。
この提言の中で、「NPOの育成・支援~規制緩和」という一節を設け、「認定NPO法人の認定要件の撤廃・緩和」など、NPO支援策の拡充を訴えている。
この提言は、「景気の下振れと不良債権処理により、雇用失業情勢は一層深刻化する懸念が強まっており、セーフティーネットの整備が急務となっている」(提言前文)との認識からなされたもの。
雇用におけるセーフティネット創出には、以下の4つが基本とされている。
- 雇用の維持・創出
- 労働者自身のエンプロイヤビリティの向上
- 現行雇用対策関連施策による政策的支援
- 雇用情勢の悪化に伴う時限的緊急雇用対策
このうち、NPOに関しては、「(1)雇用の維持・創出:新規雇用の創出~民間活力の発揮・活用」において、「サービス・部門における雇用拡大策」の5つの分野のうち「医療・福祉分野」の中で、以下のように取り上げられている。
4)NPOの育成・支援~規制緩和
i) NPOの法人格取得に関する認証基準の緩和
ii) NPOに対する支援税制の拡充
また、これに関しては、付属資料で以下のような注釈がされている。
NPO活動の支援が重要である。行政および営利企業サービスだけではカバーしきれない分野における
NPO活動範囲の拡大や、NPO活動に携わる人々の増大によって、潜在的労働力の有効活用を図り得る。
4)NPOの育成・支援~規制緩和
1998年12月の特定非営利法人活動法施行(ママ)によって、NPOの法人格取得が認められ、
本来の活動資金に充当するための収益事業を行えるようになったが、未だ不十分な部分も多い。
2001年4月6日現在のNPO法人認証数は3815法人となっている。なお、1995年における
NPO就業者はフルタイム換算で216万人、非農業総就業者数の3.5%を占めるという統計もある。また、
NPOの約3分の2が「保健・医療・福祉」の分野で活動している実態にあり(経済企画庁「平成12年
版国民生活白書」)、行政・民間のサービスだけでは対応できないきめ細かな活動を行うNPOの役割は
大きく、就労の受け皿として期待される。
i) NPO法人格取得に関する認証基準の緩和
NPOの法人格取得の拡充、認証の審査基準の緩和等を図り、NPO活動の推進を図る。
ii) NPOに対する税制支援措置の拡充
税制特例措置の対象となるNPO法人(認定NPO法人)の認定要件を撤廃・緩和することにより、
法人および個人からNPOへの寄付が増加し、NPOの活動に資する潤沢な資金提供が見込まれる。
また、「(4)雇用情勢の悪化に伴う時限的緊急雇用対策の実施」では、
1. 「緊急地域雇用特別基金(7000億円/3年:一般財源)」の創設
- 地域の取組みにより3年間で「100万人の短期雇用」の実現
が提案されており、それの具体的事例のうち、地域を超えて「共通で取り組めること」の一例として
○NPO運営のための企業実務経験者派遣
・特定非営利活動促進法(NPO法)による認証数4500件(平成13年7月)
・営利を目的としない市民活動団体は8万8000団体以上(平成12年9月)
またその他に、「各種情報網の整備」では、「NPOに対しては、NPO自らの情報発信にたいして公的助成を行なう」ことも提案されている。