行政 : 自民党NPO特委「認定要件の緩和を」
自民党のNPO特別委員会(加藤紘一委員長)は、18日、会合を開き、臨時国会に提出するNPO法の改正案の要綱を承認すると同時に、年末の党税調に向けて、認定NPO法人の認定要件の緩和について要求していくことを確認した。
18日の会合には、加藤紘一委員長、熊代昭彦委員長代理他、国会議員8名、内閣府、警察庁、法務省などが出席した。
まず、NPO法の改正に関しては、以下の8点について議論がされた。
1. 活動分野の追加
2. 設立の認証申請時の申請書類の簡素化
3. その他事業の明確化
4. 定款への記載事項の追加
5. 暴力団等の排除の実効性の確保
6. 定款変更の場合の申請書類の追加
7. 虚偽報告の検査忌避に対する罰則
8. 課税の特例
活動分野の追加については、「情報の伝達・普及を図る活動」「学術の推進」「ベンチャー教育など、起業の環境整備」「消費者保護」の4項目を追加する方向だ。
次に、認定NPO法人になるための要件に議論が移った。
来年度税制改正要望に関しては、各地のNPOから認定要件が厳しいという意見が多いことを踏まえ、政治サイドから認定要件の緩和について要求することが確認された。
ここでは、認定要件のうち、日本版パブリック・サポート・テストの算式の内容や、広域性の要件(一市区町村内だけで活動していては認定がうけられないという要件)が議論の主な対象となった。
「NPO支援税制は今年10月1日から施行になるので、施行前の改正は無理だろう。しかし、12月の党税調で改正要求をし、この改正を4月1日からの施行に出来れば、実質改正された形での施行の効力を持つだろう」(熊代昭彦委員長代理)として、今年末の税制改正に向け意欲を示した。
自民党NPO特別委員会では、今後、NPOからのヒアリングなどを経て、NPO法の改正や、認定要件の緩和などの内容をつめていく方針も確認した。
これにより、認定NPO法人の認定要件の緩和についても議論が早期に進展することが期待される。
なお、自民党NPO特別委員会に提出された『特定非営利活動促進法の改正に関する要綱(案)』は以下の通り。
特定非営利活動促進法の改正に関する要綱(案)
自由民主党
非営利組織(NPO)に関する特別委員会
平成13年9月18日
特定非営利活動促進法(以下「法」という。)の附則では、法施行(平成10年12月)後3年以内(平成13年11月末)に検討を加え、その結果に基づいて必要な措置が講ぜられるものとされている。21世紀における特定非営利活動法人の社会的役割に鑑み、法を更に幅広くかつ適切に活用できるよう以下の点に関する改正を行うこととする。
1.活動分野の追加
法第2条の別表に記載されている12の活動分野の項目に下記の項目を追加する。
(1)情報の伝達・普及を図る活動
(2)科学技術及び学術の推進を図る活動
(3)ベンチャー教育等、起業活動の環境整備を図る活動
(4)消費者の保護を図る活動
2.設立認証申請の場合の申請書類の簡素化
(1)法第10条に規定する申請書に添付する書類のうち、次の書類を省略する。
・設立者名簿
・設立当初の財産目録
・設立当初の事業年度を記載した書面
(2)法第10条に規定する申請書に添付する書類のうち、次の書類を統合する
・役員名簿及び報酬を得る役員名簿
・就任承諾書と宣誓書
3.その他事業の明確化
特定非営利活動に係る事業以外の事業としてその他事業を規定し、特定非営利活動に係る事業に支障がない限り行うことができるものとする。また、その他事業を行う場合において、収益を生じたときは、これを特定非営利活動に係る事業のために使用するものとする。その他事業に関する会計は、特定非営利活動に係る事業に関する会計から区分する。収益事業は、その他事業に含まれるものとする。
4.定款への記載事項の追加
申請書類の省略、その他事業の明確化に伴い、定款に以下の内容を明記する。
・その他事業に関する事項
・事業年度
5.暴力団等の排除の実効性の確保
(1)認証関係
1)暴力団等の排除のために、法第12条に基づく認証基準の規定において暴力団等の範囲を以下、下線部のように広げる。
i 暴力団
ii 暴力団若しくはその構成員の統制下にある団体。その構成員(以下「暴力団の構成員等」という。)には、暴力団の構成団体の構成員又はその構成員でなくなった日から○年を経過しない者を含む。
2)法第12条に基づく認証に当たり、所轄庁は、必要があると認めるときは、警察当局(所轄庁が内閣総理大臣の場合は警察庁長官、都道府県知事の場合は警視総監又は道府県警察本部長。以下同じ。)の意見を聴くことができるとする旨の規定を置く。
(2)役員の欠格事由関係
1)法第20条の役員の欠格事由として、「暴力団の構成員等」を追加する。
2)法第12条に基づく認証及び法第23条に基づく役員変更届の受理に当たり、所轄庁は、必要があると認めるときは、警察当局の意見を聴くことができるとする旨の規定を置く。
(3)監督関係
1)所轄庁は、特定非営利活動法人について、暴力団等に該当するあるいはその役員が暴力団の構成員等に該当する疑いがあると認められる場合には、法第41条に基づく報告徴収又は立入検査を実施する前に警察当局に対し、その旨の意見を聴くことができる旨の規定を追加する。
2)警察当局は、特定非営利活動法人について、暴力団等に該当するあるいはその役員が暴力団の構成員等に該当すると認められる場合には、所轄庁に対して意見を述べることができる旨の規定を置く。
なお、暴力団等に該当すると警察当局が認める場合には、所轄庁は改善命令等を経ることなく、当該特定非営利活動法人の設立の認証を取り消すことができることを、法第43条第2項の「改善を期待することができないことが明らかであり、かつ、他の方法により監督の目的を達成することができないときは、法第42条の命令を経ないでも、当該特定非営利活動法人の設立の認証を取り消すことができる。」の規定の解釈として確認する。
6.事業の追加を伴う定款変更申請の場合の申請書類の追加
事業の追加を伴う、定款変更(法第25条及び第26条)を行う場合、所轄庁へ提出する申請書類に次の書類を追加する。
・進行年及び翌年の事業計画書
・進行年及び翌年の収支予算書
7.虚偽報告、検査忌避等に対する罰則規定の新設
法第41条第1項の規定による報告をせず、若しくは虚偽の報告をし、又は検査を拒み、妨げ又は忌避した者(理事、監事及び精算人)は、20万円以下の過料に処する旨の規定を追加する。
8.課税の特例(略)
なお、シーズでは、NPO法の改正や、認定NPO法人の認定要件等に関しての改正要望に関しての皆さまからのご意見を募集している。
ご意見は、NPOWEBの会議室「NPOなんでも質問箱(NPO法人関係)」「NPO支援税制質問箱(認定NPO法人関係)」または、シーズの事務局(npoweb@abelia.ocn.ne.jp)までお寄せいただきたい。