行政 : 民主党、雇用対策で「NPOに委託を」
民主党は、現在開かれている臨時国会の後半の争点である雇用対策に関して、8日、「総合雇用政策」をまとめ発表した。その中で、公共サービス事業のNPOへの優先発注などを提案している。
民主党が、8日発表した「総合雇用対策」は、以下の4原則が柱とされている。
- 規制改革等により、21世紀型成長産業を開拓する
- 失業しても必ず新しい適職を見出せる能力開発と生活支援を行う
- 弱者を切り捨てず、チャレンジする人と地域を大切にする
- サービス優先の市民・民間活力の増進を基本とする
この柱のもとに、多くの雇用対策が提案されている。
NPOに関して目を引くのは、NPOへの公共サービスの委託を推進する提案が、NPO関連のほとんどをしめていることだろう。
たとえば、「21世紀型の成長産業の育成」においては、以下のような提案がなされている。
―「環境・緑・リサイクル」「介護・福祉・医療」「教育・子育て支援」「暮らしの安全」「高度
情報化・バリアフリー」「国際協力・人材育成」の産業積極育成―
従来型の公共事業とは異なり、これからの成長と雇用増が望める産業は生活に密着した身近なと
ころにある。しかも、この多くは公的サービスとしてニーズがあるものの充足されず、マンパワー
が必要な分野に多岐にわたっている。したがって、ナショナル・ミニマムの観点から、公共の役割
の達成を図りつつ、国民サービス向上につながる分野を産業として積極的に育成するため、公から
民へ、役所から民間企業、NPO、ベンチャー企業などへの委託を推進し、新たな創業支援・雇用
の積極創出を図る。
また、「中小企業とNPO、起業家を強力に育成支援」として、以下の提案がされている。
NPO育成―新しい雇用の受け皿になるNPOについては、税のみならず、立ち上げに必要な資金
の円滑な供給、公共サービス委託の優先発注などを図る。
そして、これらの政策を実現するための財政的措置として、「中小企業とNPO、起業家への助成措置の拡充」として、以下の財源措置が提案されている。
中小企業・NPO、特に女性起業家への支援措置として、年間必要経費1000億円に対して、
補正予算で250億円を計上する。
緊急雇用対策は、現在国会で審議されている補正予算で審議されており、政府案が近々通ると見られている。
過去2年間の緊急雇用対策により、NPOへの委託事業が増加したことは、NPOと自治体などとの連携を深めたという評価がある一方、NPOを委託漬けにしてNPOの自立性を奪ってしまいかねない状況を生んでいるという批判もある。
いずれにせよ、NPOの日本社会での位置付けも含めて、雇用問題は、NPOの発展にさらなる大きな影響を与えることになりそうだ。
なお、民主党の「総合雇用対策」は、民主党のホームページで全文を見ることができる。
→http://www.dpj.or.jp/seisaku/koyou/BOX_KO0036.html