行政 : 杉並区が寄附促進のNPO基金
東京都杉並区は、NPO活動を支援するため、4月から「NPO基金制度」を創設すると発表した。寄付者がNPOに寄附したい場合に、そのNPOを希望して区の基金に寄附をすると、基金がその希望を尊重して区長に提言し、区長がNPOへ助成を決定する仕組み。これにより、寄付者は、寄附金が課税所得から控除されるメリットがある。NPO支援税制の不備が指摘される中、自治体による新しい試みとして注目を集めそうだ。
2月6日、東京都杉並区(山田宏区長)は、NPO支援のための「NPO基金制度」を創設する事を発表した。
2月議会に条例案を提案し、基金を4月から開設したいとしている。
基金は、区から100万円、区民の寄附金から100万円の合計200万円を基本基金とするもの。
区は、来年度の予算に、この区としての100万円を計上している。
この杉並区の制度では、対象となるNPOは、区民や学識経験者等から作られるNPO等活動推進協議会であらかじめ審査され、登録された団体に限られる。
まず、寄付者は、NPOへの寄付金を、いったん区のNPO基金に寄附してもらい、そこから、寄付者の助成先の希望がある場合には、その希望を尊重して協議会が区長に提言をし、区長がその提言を受けて助成先のNPOを決定するというもの。
これにより、寄附金は地方自治体に対する寄附とみなされ、寄附者の所得税と住民税が軽減されることになる。
区としては、国が昨年10月にスタートさせた認定NPO法人制度の認定要件が厳しく、NPO法人や、寄附者がともに活用しにくい等の難点があることから、今回の制度を導入したもの。
この基金の運用方法は、以下の通り。
- 区は、区民・NPO代表・学識経験者の10人による、NPO等活動推進協議会を立ち上げる。
- NPO等活動推進協議会は、助成対象NPOを公募する。
- 公募された団体から協議会が登録団体の認定を行う。
- 協議会は、そのリストをホームページ等に公開する。
- 寄附があった場合、協議会は区長から諮問に基づき、登録団体の中から助成先の交付審査を行う。この場合、寄付者の希望があれば尊重される。
- 区長は、この審査に基づき助成先NPOを決定する。
- 申請書等は区民に閲覧出来る仕組みとする。
- 寄附者が、登録されていないNPO等を希望した場合は、この協議会に諮るものとする。
また、登録できる団体の要件は、以下の通りとなっている。
- 不特定多数の利益(公益性)の増進に寄与することを目的とする非営利活動を行う団体であって、継続した活動が期待される以下のもの。
- 特定非営利活動法人(NPO法人)
- 法人格を持たない団体(NPO等)
- 主な活動拠点を区内に有すること。
- 原則的に12分野の活動を行っている又は行う見込みがあること。
- 役員、社員、従業員もしくは寄附者、もしくはこれらのものと親族関係を有する者に対し特別の利益を与えないことなど、特定の者と特別な関係がないものとして一定の要件をみたしていること。
- 受け入れ寄付金の総額の30%以上を非営利活動にかかる事業費にあてること。
- 総事業費の内に非営利活動にかかる事業費のしめる割合が50%以上であること又はその見込みがあること。
- 団体の活動状況に関わる情報の公開、提供を行うこと。
- その法人につき法令に違反する事実、偽り、その他不正の行為により利益を得、又は得ようとした事実その他公益に反する事実がないこと。