行政 : 企業の社会貢献活動支出は3%増
(社)経済団体連合会は、4月15日に、2000年度の企業の社会貢献活動の実績を調査した「社会貢献資料2002~グッド・カンパニーへの変革(II)」を発表した。企業(323社)の社会貢献活動支出額は、総額1,345億円。1社平均では対前年度比3.2%増の4億1600万円となっている。
(社)経済団体連合会(今井敬会長)は、企業の社会貢献活動の現状を把握するため、1990年度から毎年、社会貢献活動の実績調査をしている。
4月15日、2000年度の実績調査と、3年に1度実施している1999年度の企業意識調査の詳細についてまとめた「社会貢献資料2002~グッド・カンパニーへの変革(II)」を発表した。
この報告書の概要は以下のようである。
- 2000年度の「社会貢献活動支出額」は、回答した323社の総額で1,345億円、1社平均で対前年度比3.2%増の4億1600万円であった。
- 社会貢献活動支出額(2000年度)が、売上高に占める比率は0.10%(303社平均)、経常利益に占める比率は1.51%(308社平均)、税引前利益に占める割合は2.56%(274社平均)となっている。
- 1999年度に比べ、2000年度の社会貢献活動支出額の対経常利益比が上昇した企業は、207社(2年度連続してアンケートに答えた企業数)中67社。下降した企業は139社となっている。
- 1990年代を通じ、社会貢献活動支出額は、利益の変動に大幅に左右されることなく、1社平均約4億円前後で推移してきた。
- 2000年度の1社平均寄付金額は2億7400万円(318社)。これは、1999年度より6.6%増加している。このうち、免税寄付金は1社平均2億1300万円(275社)となっている。
- 寄付金支出先の分野別比率では、「学術・研究」が19.1%でトップとなっており、2位が「地域社会の活動」で12.6%、3位が「教育」の11.8%。4位が「芸術・文化」の10.1%。続いて、「社会福祉」7.0%。「環境保全」と「国際協力・交流」が6.8%。「スポーツ」6.1%。「健康・医学」4.6%。「災害救援」4.0%。「史跡・伝統文化保存」が1.5%。「その他」が10%となっている。
- 寄付金の支出先は、国・地方公共団体、指定寄付金、特定公益増進法人、公益法人、NPO法人、法人格のないNPO、その他である。
- NPO法人への寄付金額は1社平均2400万円。法人でないNPOへの寄付は、1社平均1400万円となっている。
- 寄付金の損金算入限度枠(免税枠)の利用率は、一般寄付(275社)は48.5%。特定公益増進法人の枠(266社)で21.1%となっている。
- 一般寄付金免税枠を100%利用している企業は275社中32社で11.6%。特定公益増進法人の免税枠を100%利用している企業は、266社中13社(4.9%)となっている。両方の枠との100%利用している企業は、264社中1社だけだった。
- 自主プログラム(各社が独自に、または他社と共同で実施した社会貢献プログラム)に関する支出額は、317社の合計が470億円で、1社平均が1億4800万円となっている。
- 自主プログラムの分野別支出比率は、「地域社会の活動」が22.5%と最も高かった。
- NPOとの連携は、自社の社会的ビジョンに基づいたテ-マやプログラムを選択した上で、企業はNPOを「多様な社会構築の担い手」や「社会貢献活動推進の有力なパ-トナ-」と期待し、NPOの特性や専門性を生かした協働を始めている。
- 企業は何のために社会貢献をするかでは、各社各様であるが時代と共に変化してきているとし、今後の企業経営は「ブランド」や「社会責任」は外すことが出来ない重要項目で、企業の社会貢献活動が今後何等かの役割を果たしていくとみなされている。
また、この調査により、新たに認識されてきた企業の社会貢献活動の役割を十分果たしていくために、以下の課題が指摘されている。
- 社会的責任・社会貢献活動の意義についての理解促進
- 実行性ある社会貢献活動推進のための環境整備
- 真に市民社会の構築に貢献するための協働のルールづくりなど
調査対象は、経団連会員企業、1%クラブ法人会員の合計1,039社、回答は339社(回答率32.6%)で、調査期間は2001年7月~9月。
(注)社会貢献活動支出額は、寄附金総額(税法上免税とされているか否かにかかわらず、社会貢献を目的とした寄附金、現物寄附等)と、社会貢献を目的とした自主プログラムに関する支出額(税法上、広告・宣伝費等で処理されていても、実質は社会貢献活動と企業が認識している支出を含む)の合計。寄附金額は、政治献金、関連会社への寄附を含めない、社会貢献を目的とした寄附。