行政 : 変える会「NGOとの新しい関係」提唱
川口外務大臣の諮問機関である外務省改革に関する「変える会」は、7月22日(月)、最終報告書(アクション・プログラム)を発表した。ODAの評価や効率化のためにNGOと協力することや、NGOと新しい協力関係を強化することを盛り込んでいる。
外務省改革に関する「変える会」(座長:宮内義彦オリックス株式会社代表取締役会長)は、今年3月6日(水)の第1回会合の後、7月22日(月)までに12回の会合を終え、7月22日(月)に最終報告書を発表した。
「変える会」は、外務省に「競争原理・適材適所・透明性(説明責任)・トップマネジメント強化等の考え方を導入して、人的資源・組織を再生し強化」するとともに、「国民から信頼され戦略的な外交政策を担える新生外務省へ」変わっていくために組織されたもの。
最終報告書は、「不当な圧力の排除」「誤ったエリート意識の排除とお客様志向」「人事制度の再構築」など12項目にわたって行動計画が示されている。
そのうち、NGOについては「NGOとの新しい関係」の項目において、NGOの意見を政策に反映させるために関係部局で懇談会を実施したり、ホームページやメールマガジンでNGOへの情報発信機能を向上させるという。また、NGOの専門性や運営能力向上のためにNGOの活動支援基盤整備の施策を拡充するとしている。
さらに、「ODAの効率化・透明化」の項目でも、ODA評価においてNGOや国際機関との合同評価体制を促進したり、ODAの選定・実施の決定にかかわる職員に、NGO経験者など民間人を登用するとしている。
最終報告書の「NGOとの新しい関係」の項目は、以下のとおり。
VII.NGOとの新しい関係
1.NGOとの協力関係を強化するための施策【平成14年9月までに実施】
(1) NGOの意見を政策に反映させるため、NGOの活動に関係する部局において懇談会
を実施・活性化する。
(2) 懇談会の情報を省内で共有し、共通課題については統一的な方針の策定を検討する。
(3) 「NGO・外務省定期協議会」において、NGO支援・政策協議の各部会を設置し、
局幹部も出席する。
(4) ホームページやメールマガジン等を利用してNGOへの情報発信機能を向上させる。
2.NGO活動を支援する基盤を整備するための施策【平成14年度中に実施】
(1) NGOの活動支援基盤整備(専門性・組織運営能力の向上)のための施策を拡充・
強化する。
これとは別に、最終報告書の別添資料には、「VII.NGOとの新しい関係」について次のように記されている。
「諸外国と比べて日本のNGOは、財政規模、有給専従職員ともに脆弱である。NGOとは何か、なぜ必要かについての理解が国民のみならず外務省を含む政府においても低く、このため連携や支援が十分に機能していない。
NGOと政府は、その組織としての性格、活動分野、活動目的等について互いに補完的な側面があり、国際舞台において日本が全体としての最大の力を発揮するためには、外務省とNGOが互いに長所を活かしあうことが重要である。そのために、両者は連携を更に深める必要がある。例えば、NGOは国交のない国にも援助の手を差し伸べているほか、実際に携わるNGOは、官の側が把握しきれない現場での経験を多く有している。政府はこのようなNGOの特性を認識すべきである。
NGOと政府が、各々の立場から他国との関係を築くことによって、政治情勢の変化への円滑な対応が促進され、将来的に日本の国益に繋がる可能性もある。外務省の外からの視点も踏まえた多角的な外交のためにNGOとの協力は必要不可欠である。」
なお、最終報告書の全文は次の外務省のホームページから読むことができる。
http://www.mofa.go.jp/mofaj/annai/honsho/kai_genjo/change/saishu.html