行政 : 介護NPO、課税取消求め提訴
千葉県流山市の福祉NPO法人「流山ユー・アイ・ネット」が、8日、有償ボランティアの助け合い事業が税務署から収益事業に当たるとして法人税を課税されたことに対して、松戸税務署長を相手取り、課税の取り消しを求める訴訟を起こした。
流山ユー・アイ・ネット(米山孝平代表)は、介護保険事業とともに「助け合い事業(ふれあい事業)」を行っているNPO法人。
「助け合い事業(ふれあい事業)」とは、「相互扶助の精神に基づく会員同士の助け合い活動を支援する事業。1時間当たり600円は協力者に対する謝礼。同じく200円は、事務運営に協力する寄附金。年間活動実績8031時間(月間約670時間)。」とされている。
今回、この事業が、税務署より課税事業である「請負業」と認定され、課税指導をされたもの。助け合い事業収入154万5195円に対する課税額46万3800円の決定取り消しを求めている。
訴訟では、さわやか法律事務所弁護士堀田力氏と同弁護士田島優子氏が訴訟代理人を務めている。
訴訟を支援しているさわやか福祉財団(堀田力理事長)によると、国税側とNPO法人側の主張はそれぞれ以下の通りとなっている。
○国税側
- 原告が行う助け合い事業は「請負業」である。その理由は第一に、同事業は、利用者の依頼した範囲でサービスを提供しているから、「一定の仕事の完成」を目的とするものであり、第二に、同事業の利用料金は予め1時間800円と定められており、サービス提供に応じて事業者に交付されるため、その金額の多寡にかかわらず、「報酬」である。
- ふれあい事業の事業主体はNPO法人であり、同事業は人材派遣業に類似する。
- ふれあい事業は、家事サービス事業であり、民間営利事業と競合するため、「収益事業」として課税対象となる。
○NPO側
- ふれあい活動は、第一に、共にふれあい、心を交わすことに力点があり、依頼の範囲に拘束されず、臨機応変に活動をするものである。
第二に、800円のうち600円は、ボランティア活動に対する感謝の証として、協力者に直接支払われるもので、労働の「報酬」ではなく(その額は、地域の最低賃金以下である)、200円は、団体の事務運営に協力する寄附金である。 - 原告は、会員である利用者と協力者の間を仲介しているに過ぎず、意思決定は双方の自由に委ねられており、雇用関係にある人材派遣業とは根本的に異なる。
- ふれあい活動は、心の交流を核とする非定型的な生活援助を行う活動であって、単なる家事サービス活動ではない。また、収益を得る事業ではなく、剰余金は、役員や事務専従スタッフが、無償もしくはそれに近い謝礼金で事業に従事しているから生じたものであって、これらはすべて本来事業のため投入されるものである。
この訴訟の経緯およびさわやか福祉財団からのアピールは、NPO事業サポートセンターの以下のホームページで見ることができる。