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2002年11月15日 10:00

行政 : NPO連絡会、内閣府に申し入れ

 11月15日、NPO/NGOに関する税・法人制度改革連絡会は、「認定NPO法人制度の改善に関する要望書」を内閣府に提出した。この要望書には、全国のNPO法人3036団体の代表者らからの賛同署名が寄せられており、そのリストも同時に提出された。

 

 全国のNPO支援団体40団体で構成する、NPO/NGOに関する税・法人制度改革連絡会(以下「連絡会」)は、「認定NPO法人制度の改善に関する要望書」に対して、全国3036のNPO法人の代表者・役職者から署名を集めた。

 署名集めは2002年10月から11月に実施。2002年6月末までに認証を受けたNPO法人7314法人に対して呼びかけた。4割を超えるNPO法人の代表者・責任者からこの署名への賛同を得たことになる。(その後、11月15日までに28団体が追加され、3064名となった)

 この日、内閣府へ申し入れしたのは、次の連絡会世話団体メンバー。

  • NPO事業サポートセンター 専務理事 田中尚輝
  • 日本NPOセンター 常務理事 山岡義典
  • 日本NPOセンター 企画スタッフ 李凡
  • シーズ 事務局長 松原明
  • シーズ プログラム・ディレクター 治田友香

 申し入れに対応したのは、藤本一郎氏(内閣府国民生活局市民活動促進課長)。

 まず、要望書と賛同署名リストを手渡した。そして、以下のように三人が内閣府に申し入れを行った。

 「制度ができた当初、われわれは全体の3%が認定NPO法人になるのではと予測していた。現実は9法人、わずか0.1%である。実効性ある制度に改善されるよう要望する」(山岡)

 「制度の悪用を懸念している向きもあるようだが、そういう法人は全体から考えればごく一部に過ぎない。自力でがんばろうとしているNPO法人を応援する制度にしてほしい」(田中)

 「小さな改正を重ねるのではなく、効果的で抜本的な改正をお願いしたい。他の公益法人のように、行政による監督でがんじがらめになっている法人が税優遇が受けられるという考え方ではなく、NPO法の精神をいかした制度に改善されるべく、各政党、関係する省庁と議論を進めていきたい」(松原)

 それを受けて、藤本課長は、「認定NPO法人制度の改善について、検討を進めるための材料がそろってきた。われわれも認定要件の緩和に向けた議論に積極的に取り組んでいきたいと考えている。他の非営利法人とのバランスを考えながらの検討となるだろう」と答えた。

 また、「NPO法の改正について国会で議論されるよう、NPO側からも各党の国会議員に働きかけてほしい」と話した。

 なお、連絡会は、11月18日、星陵会館(東京都千代田区)にて、認定NPO法人制度改正決起集会を開催する。

 「税制の改正に向けた運動は、今が山場です。皆さんの声を各党のNPO担当議員の方々に届けましょう。当日参加も受け付けます。関東近辺の方は、ぜひご参加ください」と治田(シーズ)は呼びかけている。

 要望書の全文は以下の通り。

NPO支援税制の改善に関する要望書

2002年6月21日
NPO/NGOに関する税・法人制度改革連絡会
はじめに -基本的な認識-
 昨年10月1日より、新しいNPO支援税制が施行された。これは時代の動きを反映したものとして歓迎し、実現に向けて努力してこられた関係各位には深く敬意を表したい。
 しかし、認定要件が極めて煩雑で厳しいことから、施行後8ヶ月を経た現在に至っても、認定を受けたNPO法人はわずか5法人にすぎない。せっかく導入された新制度も「絵に描いた餅」というべき状況にある。また、「みなし寄附金」制度が見送られたため、対価収入を得て活動しているNPO法人にとっては、社会的な活動を促進するものとなっているとは言い難い。
 多くのNPO法人が幅広く活発に利用し、逞しく成長するような制度とすべく、今後その内容を早急に改善していくことが必要と考え、以下の点を要望するものである。
 

【要望事項】

  1. 認定要件の緩和を
     認定NPO法人の認定要件は、極めて制約が多く煩雑なものになっており、NPO法人の活動実態からみて、ほとんどの団体が認定を受けられないことは明らかである。このNPO支援税制は、未だ十分に育っていない日本の民間非営利活動を、その基礎から育て促進するためのものであるはずで、より現実的で分かりやすく、効果のあがる要件に緩和すべきである。また次項の「みなし寄付金」制度の幅広い適用のためには、事業型のNPO法人が該当しやすくなるような、要件の構造そのものの再検討も必要である。(現行の要件の具体的な問題点を例示すると、下記「別紙」の通り)

  2. みなし寄付金制度の実現を
     今回の認定NPO法人制度では、収益事業所得に対する「みなし寄付金」制度の導入が見送られたが、NPO法人が自ら収益事業を行ってその所得の一部を特定非営利活動に用いることは、自立した社会的活動を継続的に行う上で極めて重要なことである。税法上の収益事業(33業種)に関しては、その所得を特定非営利活動の非収益事業に支出した場合、所得の50%までの支出を「みなし寄付金」として収益事業の損金に算入できるようにすべきである。「みなし寄付金」に関しては昨年・一昨年の与党税制大綱においても「早期に検討する」ことが明記されているが、2001年度の税制改正でも見送られた経緯がある。来年度税制改正において是非実現すべく努力していただきたい。

  3. 認定NPO法人の認定期間と更新手続きの再検討を
     現状では認定期間は2年間となっており隔年の更新事務が必要となるが、これでは各法人が本来の特定非営利活動を落ち着いて行う上で、大きな負担となる。少なくとも認定期間を4年程度に伸ばすべきである。また従前の認定期間が切れるまでに次の更新認定がおりない場合も考えられ、この制度適用に大きな不安を残している。認定の空白期間が生じないように、更新の申請をして審査中の場合には、従前の認定が継続しているとみなすことを明文化すべきである。

  4. 地方税における優遇措置の実現を
     NPO法人の役割は特に地域社会に対して大きい。その活動は、地方自治体の行政とも大きく係わりをもつ。この点から、寄付金控除やみなし寄付金制度等の優遇措置を地方税においても実現すべく、地方税法の改正を要望する。そのことによって、各自治体がNPO法人に対して独自の税制支援を行う努力をすることを期待したい。

 
(別紙)

【NPO支援税制に関する改正における具体的な要望事項】
(1)認定NPO法人制度全体に関するもの

  1. みなし寄附金制度の創設を
    • 法人税法上の収益事業から、特定非営利活動に係る事業で非収益事業(税法上)に対して支出した場合は、収益事業所得の50%までをみなし寄附金控除にできるようにする。
    • 低廉な価格で利益を出すことを目的としていない事業については、法人税法上の収益事業に該当している場合でも、国税庁長官(もしくは第三者機関)の認定で非収益事業とできるようにする。
  2. 小規模な売り上げに関しては非課税を
    • 法人税法上の収益事業に該当していても、収益事業の収入の合計が、年間300万円を超えない場合には、収益事業に該当しないこととして、減免できるようにする。
  3. 認定の有効期間の延長&認定審査期間の明確化
    • 認定期間を2年間から4年間に延長する。
    • 認定審査に係る期間を明文化する。(原則的に4ヶ月以内程度)
  4. 認定に更新の仕組みの導入を
    • 認定NPO法人の認定が切れる前に、更新の申請ができるようにして、認定期間がとぎれないようにする。
  5. 地方税の寄附控除の措置を
    • 個人住民税の課税所得の計算において、認定NPO法人に寄附をした場合の寄附金を国税と連動して控除できるようにする。
    • 地方税における寄附金控除の10万円の足きりを1万円にする。(もしくは足きりを撤廃する)

(2)認定要件に関するもの

  1. 日本版パブリックサポートテストの計算式の修正を
    • 総収入金額等に占める受入寄附金総額等の割合を5分の1以上に、また、初回の認定においては、10分の1以上に緩和する。
    • 総収入金額等の計算においては、総収入金額から特定非営利活動に係る事業収入のうち対価を得て行った事業収入の収入金額を控除できるようにする。
    • 1者につき3000円未満の寄附金を分子・分母から控除することはしないようにする。
    • 分子・分母に補助金を算入できるようにする。
    • 現在、算定寄附金の基準限度額は、受入寄附金総額の2%となっているが、総収入金額等の2%とする。もし、受入寄附金総額を基準とするならば、5%に限度額を上げる。
    • 公益法人等からの助成金は、選考委員会や選考基準が明確であるなどの条件が備わっている場合には、分子に助成金の全額を算入できることとする。
    • 社員からの会費に関しては、総会での議決権は、会費の反対給付とはみなさないこととし、寄附扱いできるようにする。
  2. 広域性の要件の撤廃を
    • 広域性の要件は撤廃する。
  3. 共益団体等の排除の規定の緩和を
    • 会員等に対価を得て資産の譲渡等を行う活動や会員等への連絡・交換を行う活動に関する制限があるが、この会員等の範囲が、「実質的に会員と同等の資産の譲渡等を受ける者」としていて、あいまいで広すぎる。会員名簿に掲載されている人に限定する。
    • 特定者や特定の著作物の普及・宣伝活動に関する制限があるが、これを撤廃する。
  4. 役員・社員の親族要件等の緩和を
    • 親族等や特定の法人の従業員等の役員・社員に占める割合に関する制限を課すのは役員に限定し、社員に関しては親族等や特定の法人の従業員等の割合の制限を加えないこととする。
    • 親族等の範囲に「役員(社員)と婚姻の届出をしていないが事実上婚姻関係と同様の事情にある者」も入っているが、これは除外する。(他の要件でも親族等の範囲から除外する)
  5. 宗教・政治活動の制限の緩和を
    • 宗教活動・政治活動の全面禁止となっている要件を「事業活動の20%以下」とする。
  6. 海外の送金に関する届けの緩和を
    • 海外に送金する場合の事前届出は一定金額以上(例えば500万円以上)にする。
    • それ以下の金額の送金の場合は、一年間まとめて事後届け出とする。
  7. 情報公開の内容の緩和を
    • 役員・従業員の給与は全員の給与金額を公開することとなっているが、従業員に関しては上位5名までとする。
    • 20万円以上の寄附をした者の名簿を公開することとなっているが、この金額を引き上げる。(例えば50万円以上)
  8. 単年度主義の撤廃を
    • 認定要件で、単年度でチェックする方法を、2事業年度(延長した場合は、4事業年度)の合計でチェックする方法に変更する。
  9. 所轄庁の証明書の撤廃を
    • 所轄庁による法令等の違反がないことに関する証明書の添付を撤廃する。
  10. 法人の規模によって認定要件の難易度に段階を
    • 法人の事業規模によって、認定要件のハードルの高さに段階を設け、小さな法人でも認定が受けやすくする。(情報公開、届け出などの難度を減らす)
  11. 申請書類の簡素化
    • 認定要件の緩和と平行して、申請書類の簡素化を行う。
    • 法人の事業規模などにより、情報公開の内容の程度を変える。
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