行政 : 宇都宮市、市民活動助成基金設置
宇都宮市は、この10月、新たに市民活動基金を設置した。市が、市民からの寄附金と同額を予算計上し、助成するマッチングギフト方式で、1団体当たりの助成額は、10万円以内と30万円以内の2コースある。2003年度から助成を開始する。
宇都宮市(福田富一市長)は、宇都宮市市民活動助成基金に関する条例を、この9月議会で制定、10月1日から施行した。助成事業は、別途要綱をつくり、2003年度から開始する予定。
同市は、これまで市民活動センターの設置、ボランティア活動保険の拡充などのNPO支援策を行ってきた。本基金は、その次の段階として、団体の自立を促進し市民活動の活性化を図るとともに、市民自身が市民活動を支える社会環境を醸成することを目的に設置したもの。
市が、毎年12月末までに寄せられた市民からの寄附金と同額を予算計上し、市費を上乗せするマッチングギフト方式で、市民と市との協働により基金を積み立てるしくみを採用している。
基金の原資は、2002年度予算では500万円を計上し、10月から市民や企業へ寄附を呼びかけを開始した。助成金の総額は、毎年、200万円を下限とし600万円を上限としている。寄附額が少なかった場合でも最低200万円は確保する。
1団体当たりの助成額は、助成対象経費の50%以内で、幼生期コース(立ち上がり支援)が10万円以内、羽化期コース(ステップアップ支援)が30万円以内。助成対象は、宇都宮市内で活動する5名以上で構成され、規約などの定めのある市民活動団体で、宇都宮市民活動サポートセンターに登録していることが条件となっている。
交付先の決定は、学識関係者、NPO関係者、市民からの公募者などによって構成された審査会が審査し、その審査結果を受けて市長が行う。
助成を受けた団体は、一般に公開された報告会で、事業概要、効果、会計報告など助成事業について、市民や寄附者に対して事業終了後に報告することが求められる。
基金設置の効果について、同市市民生活部自治振興課の中臣宇仁さんは、「この基金は、たくさんの市民によってNPOを支えるしくみになっている。この取り組みが、市民がボランティア活動に関心を持つきっかけとなり、NPOの自立を助けることにつながれば。」と話している。
以下は、条例の全文。
■宇都宮市市民活動基金条例
(設置)
第1条 市民活動助成事業(以下「事業」という。)の財源に充てるため、宇都宮市市民活動助成基金(以下「基金」という。)を設置する。
(積立て)
第2条 基金は、前条の目的のための寄附金及び予算で定める額を積み立てるものとする。
(管理)
第3条 基金に属する現金は、金融機関への預金その他最も確実かつ有利な方法により保管しなければならない。
2 基金に属する現金は、必要に応じ、最も確実かつ有利な有価証券に代えることができる。
(運用益金の処理)
第4条 基金の運用から生ずる収益は、一般会計歳入歳出時に計上して、事業の実施に必要な財源に充てるほか、基金に繰り入れるものとする。
(繰替運用)
第5条 市長は、財政上必要があると認めるときは、確実な繰戻しの方法、期間及び利率を定めて、基金に属する現金を歳計現金に繰り替えて運用することができる。
(処分)
第6条 基金は、事業の実施に必要な財源に充てる場合に限り、これを処分することができる。
(委任)
第7条 この条例に定めるもののほか必要な事項は、市長が定める。
附則
この条例は、平成14年10月1日から施行する。