行政 : 自民外交部会、税制要望決める
自由民主党外交部会は、11月15日、会議を開き、外交部会として党税調に提出するNPO税制の要望事項をまとめた。パブリックサポートテストの算定式に関して、補助金や行政からの委託事業を分母分子に全額算入することなどを求めている。
自民党外交部会(河本栄典部会長)は、11月15日、外交調査会(中山太郎会長)、対外経済協力特別委員会(高村正彦委員長)と合同で会議を開き、外交部会としての来年度の税制改正要望を決定した。
これは、国際的NGOに関する小委員会(塩崎恭久委員長)が11月7日に決定したものを一部修正したもの。
会議には、国会議員約20名が参加。まず、シーズ事務局長・松原明が、「認定NPO法人の現状と問題点」について報告を行った。その後、国際的NGOに関する小委員会からの「要望案」を検討した。
要望案を説明した河野太郎議員(部会長代理)は、認定要件の緩和のうち、海外送金については、事前届出は、外為法で500万円以上を海外送金する場合に届け出る規定があることにふれ、それに合わせてはどうかと提案した。
出席した議員からは、「政府の補助金を受けている団体に優遇するのは検討する必要がある」という意見も出たが、結局、原案通り採択された。
来週以降本格化する自民党税調での議論の場に提案される。
外交部会でまとまった「平成15年度NPO法人に関する税制改正要望」は以下の通り。
1998年12月のNPO法(特定非営利活動法人)の施行以降、NPO法人数は2002年9月末現在で8315団体となっている。また、2001年10月には、認定NPO法人制度が導入され、一定の要件を満たすNPO法人について、寄附金控除等の特例措置が講じられることになったが、その認定要件が厳しいことから、これまでに認定を受けたNPO法人数は、2002年10月末現在で9法人にとどまっている。
開発途上国における援助活動や緊急人道支援活動に従事するわが国の国際協力NGOの中にも、上記NPO法の施行後、NPO法人の認証を受けた団体数が急速に増加しているが、その多くは未だ財政基盤や組織能力が脆弱であり、特に資金面での制約が国際協力活動を展開していく上で大きな足枷となっている。政府においては、従来よりNGOの組織強化のための支援や事業面での支援・連携を強化しているものの、今後のNGOの安定的な発展のためには、主要な資金源である個人・法人からの寄附金収入や収益事業収入等による自己資金の確保を促進することが不可欠である。
国際的NGOに関する小委員会としては、わが国の「顔の見える国際協力」を推進していくためにも、国際協力NGOを育成・強化していくことが極めて重要であると考えている。今般、当小委員会としては、過去数回に及ぶ関係団体とのヒアリングやアンケート調査等の結果を踏まえ、国際協力という公益性の高い分野で活動するNGOについては、より多くの団体が認定NPO法人制度の適用を受けることが適当との考えから、別紙のとおり認定NPO法人制度の改正を要望することとした。
1.認定要件の緩和
認定NPO法人の認定要件は極めて制約が多く、殆どの団体が認定を受けられない状況にある。国際協力といった公益性の高い分野に従事するNPOの活動を促進するためには、より現実に即した要件内容に緩和すべきである。
(1)パブリック・サポート・テストの緩和
(イ) | 国及び地方公共団体からの「補助金」を分子分母に全額算入する。 その際、国・国際機関・特殊法人等からの委託事業費については、補助金と同様の扱いとし、分子分母に全額算入する。 また、公益法人等からの助成金についても、補助金と同様の扱いとし、分子の2%規制を除外して全額算入を認める。 |
(ロ) | 総収入金額に占める寄付金の割合を1/3から1/5に緩和する。 |
(ハ) | 寄付金基準限度額を受入寄付金の2%から5%に緩和する。 |
(ニ) | 寄付金算入額(現行3000円)の対象を1000円以上とする。 |
(ホ) | 社員(正会員)からの会費についても寄付金として算入を認める。 |
(2)海外送金手続きの緩和
(イ) | 海外に送金する場合の事前届出は、一定金額以上とする。 |
(ロ) | それ以下の場合は、1年分をまとめて事後届出を可とする。 |
(3)情報公開の内容の緩和
(イ) | 20万円以上の寄付者に対する情報開示要件を緩和する。 |
(ロ) | 全ての給与受給者の氏名及び報酬の公開を緩和する。 |
2.みなし寄付金制度の創設
認定NPO法人がその収益事業に属する資産のうちからその収益事業以外の事業のために支出した金額は、公益法人等と同様にその収益事業からの寄付金とみなす制度を導入する(損金算入限度額は、公益法人等と同様に収益の20%とする)。