行政 : 企業メセナ、01年度は5%減
(社)企業メセナ協議会は昨年11月、「メセナ活動実態調査」を発表した。2001年度にメセナを実施した企業の平均活動費は6212万円、全体の総額は、175億8029万円で、前年比5.1%減となっている。
メセナ活動実態調査は、今後の企業メセナのあり方や展望を探ることを目的に(社)企業メセナ協議会が1991年より毎年実施しているもの。
2001年度に行ったメセナ活動について、全国の上場企業や非上場売上高上位300社、協議会会員企業など計3980社にアンケートを送付、602社の回答を得た。
この602社のうち、2001年度にメセナ活動を行った企業は、375社。一社あたりのメセナ活動件数は6.3件、平均活動費は6212万円であった。
さらに、比較可能な活動費3年連続回答企業122社を見ると、そのメセナ活動費は平均1億241万円で、景気の低迷にもかかわらず3年連続で1億円台の水準を保ち、昨年と同水準となった。
しかし、全体の総額は、175億8029万円で、前年比5.1%減となっている。
今回の調査では、はじめて、「メセナ・マネジメント実践企業」の指標を取り入れ分析を試みた。
メセナ・マネジメント実践企業とは「メセナ活動の基本方針の策定」、「メセナ活動費の予算化」「選任スタッフの配置」の3要素すべてを満たす企業をさし、96社(メセナ実施企業375社の25.6%)がそれら3要素を満たしていた。
この実践企業は、「メセナ活動の芸術分野数」「プログラム数」、「非資金支援」、「アーティストや市民とのパートナーシップ」などいずれの項目においても、実施率が他の企業を大きく上回った。
基本方針を策定している企業は216社(同57.6%)、予算化している企業は292社(同57.6%)、選任スタッフを配置しているのは172社(同45.9%)となっている。
これらの結果に、企業メセナ協議会では、「企業ではメセナのマネジメント体制の充実が進み、厳しい経済情勢の中で、メセナは企業活動の一つとして着実に定着してきているといえる」と評価している。
メセナ活動の芸術分野では、「音楽分野」が271社(72.3%)と多く、続いて「美術」が187社(49.9%)、「演劇」が86社(12.3%)となっている。
メセナ活動の目的としては、複数回答で、317社(84.5%)が「社会貢献の一環として」と回答している。次いで「芸術文化全般の振興のため」が211社(56.3%)、「地域社会の芸術文化振興のため」206%(54.9%)、「長期的にみて自社のイメージ向上につながるため」201件(53.6%)となっている。
また、メセナ活動の阻害要因の1位は「予算額が少ない」ことで、2位に「税制上の優遇措置がない」ことがあがった。3位以下は「スタッフ数の不足」、「社内の理解が得られない」、「目先のメリットが見込めない」ことなどが続いている。
さらに、芸術文化振興のために主体となるべきところについては、回答企業全体では「地方自治体」がもっとも多かったが、メセナ実施企業は「企業」の位置づけを高く回答しており、自らの責任を自覚したものとなっている。また、実施企業は、「市民」「NPO」の位置づけを未実施企業より高く回答しており、「NPO」に期待していることも明らかになった。
この調査についての詳細は以下のURLを参照のこと。
http://www.mecenat.or.jp/doko/doko.html
個々の企業の活動内容詳細については、同協議会が運営する企業、財団、地方自治体のメセナ活動のデータベース「メセナビ」で見ることができる。
http://www.mecenavi.info/