行政 : 公益法人を「非営利法人」に
政府の行革推進事務局が進めている「公益法人制度の抜本的改革」の概要が明らかになった。公益法人(社団法人・財団法人)と中間法人を一本化し、「非営利法人」という新しい法人類型を設けるとしている。NPO法人については「この非営利法人制度の中に発展的に解消される可能性が高い」としている。
政府の行革推進事務局が進めている「公益法人制度の抜本的改革」の概要が明らかになった。公益法人(社団法人・財団法人)と中間法人を一本化し、「非営利法人」という新しい法人類型を設けるとしている。NPO法人については「この非営利法人制度の中に発展的に解消される可能性が高い」としている。 政府の行革推進事務局(石原伸晃担当大臣)では、昨年11月以降、有識者による私的懇談会「公益法人制度の抜本的改革に関する懇談会」を立ち上げ、公益法人制度の抜本的改革に向けて検討を進めてきた。
この検討の結果、今年3月までに「公益法人制度改革大綱(仮称)」を取りまとめることとしている。
この大綱の基本的方向として、事務局が現在検討している案は、以下のような概要となっている。
1)法人制度
- 公益法人制度と中間法人制度とを一括りにした「非営利法人」という法人類型を新たに設ける。
- 現行のNPO法人制度は、この非営利法人制度の中に発展的に解消される可能性が高い。
- 非営利法人は、簡便な方法で法人が設立できるように、準則主義(登記)により設立できるようにする。
- 非営利法人の法人格は、公益性の有無に関わらず法人格が取れるようにする。
- 非営利法人のガバナンス(統治)は、中間法人制度の規律を基本としつつ、商法の規律も参考にする。
- 会計処理原則の統一も検討する。
- 中間法人制度にある基金制度は、導入する方向で検討する。
- 非営利法人には、中間法人並みのディスクロージャーを義務付ける。
- 財団法人制度については、準則主義での設立、社会貢献性の判断を社団と同様に行うこととする。
2)税制優遇措置等
- 非営利法人の事業が、法律に規定する「社会貢献性」を有するとされる要件を満たした場合、一定の優遇措置を講ずる。
- この優遇措置は、法人格の取得から切り離すとともに、更新制とする。
- 「社会貢献性」の要件は、法律上客観的で明確な基準とする。
- 「社会貢献性」の要件は、「法人の事業等の領域」「事業の実績・運営実態」「その他の規律」の3つの要素から判断されるようする。
- 社会貢献性があると判断された法人は、理事構成の制限やディスクロージャーの強化などの義務を負う。
- 社会貢献性がある場合の優遇措置として重要な「税制上の優遇措置」については、別途、財務省、総務省等において検討を進める。
- 社会貢献性がある非営利法人は、登録制度を実施する。登録先は、国の単一行政庁(第三者機関を含む)と、都道府県内において事業を行う法人等については都道府県を想定。
石原行政改革担当大臣は、25日のテレビ番組で、「法人格取得は誰でも取れるようにして、原則課税とすることが望ましい」旨、発言したが、現在の検討経過では、新しい非営利法人が原則課税となるかどうかは、財務省や総務省の検討に委ねるとしている。
また、NPO法人制度については、「この非営利法人制度の中に発展的に解消される可能性が高い」としているが、今年3月の「大綱」後、新しい非営利法人制度ができるまでに検討するのか、新しい非営利法人制度としばらくは併存する形になるのかは、今のところ明確ではない。
新しい非営利法人制度の骨格が、中間法人制度を基本にし、基金(有限責任中間法人では3百万円の基金が必要)が必要という要件のもとで、現在、基金等が不必要なNPO法人制度と統合するとなれば、NPO法の後退という指摘が出てきそうだ。