行政 : 資本金1円から会社設立可能に
会社設立に必要な最低資本金の規制をなくす「中小企業挑戦支援法」が2月1日から施行された。創業者として経済産業大臣が確認をした者が株式会社を設立する場合、1円の資本金でも設立可能となる。
会社設立に必要な最低資本金の規制をなくす「中小企業挑戦支援法」が2月1日から施行された。創業者として経済産業大臣が確認をした者が株式会社を設立する場合、1円の資本金でも設立可能となる。 昨年秋の臨時国会で、新事業創出促進法の一部を改正する「中小企業挑戦支援法」(正式名称:中小企業等が行う新たな事業活動の促進のための中小企業等協同組合法等の一部を改正する法律)が成立した。
この法律により、「創業者(事業を営んでいない個人が新たに会社を設立し、その会社で事業を開始しようとする個人であり、なおかつ2ヶ月以内に開始する具体的計画を有する者)」として、経済産業大臣の確認を受けた個人は、最低資本金未満の資本金で株式会社や有限会社が設立できるようになる。
設立した会社は、設立から5年間は、資本金の額が最低資本金未満でもよいとなっている。
ただし、5年以内に最低資本金まで増資・組織変更しない場合は、解散しなければならない。
これは、開業・創業を促進し、あらたな事業に挑戦する中小企業等を積極的に支援することを目的とするもの。
この法律により、「創業者」として確認された者は、株式会社で1千万円、有限会社で3百万円とされている最低資本金の制約がなくなり、資本金1円からでも会社が設立できるようになった。
設立できる有限会社・株式会社は、それぞれ「確認有限会社」「確認株式会社」と呼ばれることとなる。
NPO法人は、「会社に比べて、資本金がなく法人が設立できることがメリットである」と解説される場合もあるが、資本金に関する優位性はこれであまり大きくなくなったと考えられる。
また、現在、公益法人改革で、「新しい非営利法人制度」の検討が進められているが、そこにおいて、新しい法人の設立に「基金」が必要であるという意見が出されている。その理由としては、債権者保護の必要性が説かれているが、この「中小企業挑戦支援法」に関する経済産業省のホームページのQ&Aでは、以下のような指摘がされているのも興味深い。
株式会社・有限会社が倒産した場合でも、その実質的な所有者である株主・社員は会社が負担していた債務を弁済する義務を負わないため(有限責任)、会社に対して融資をした金融機関や売掛債権を持っていた者(会社債権者)が、会社が倒産した場合のリスクを負担することになります。最低資本金規制は、会社を設立する時点で最低資本金以上の財産を保有させることにより、このような会社債権者のリスクを軽減することを目的としています。
しかし、昨今の大型倒産事件から明らかなように、資本金の額が大きいからといって倒産しないというわけではありません。また、会社設立時点で会社の保有する財産が多額であったとしても、その後の会社経営に失敗した場合には、倒産することになります。
他方で、これから会社を設立して、起業しようとする者のうち、必ずしも資金力・信用力が十分ではないサラリーマン・主婦・学生等にとっては、最低資本金は起業に向けての高いハードルとなっていました。そこで、やる気と能力のある中小企業等の育成・発展を進め、我が国の経済活性化と雇用拡大を実現するため、(中略)「創業者」であることについて経済産業大臣の確認を受けた者が株式会社・有限会社を設立する場合には、最低資本金に規定する商法第168条の4、有限会社法第9条を、会社設立から5年間、適用除外とする特例を設けました。