行政 : 公益法人協会が提言を発表
(財)公益法人協会は、2月20日、「新公益法人制度の提言」を発表した。中間法人とは別に新公益法人を創設し、原則非課税とする。事後チェックを担当する新公益法人支援機関を第三者機関として設けるなどを提言している。
(財)公益法人協会は、2月20日、「新公益法人制度の提言」を発表した。中間法人とは別に新公益法人を創設し、原則非課税とする。事後チェックを担当する新公益法人支援機関を第三者機関として設けるなどを提言している。 財団法人公益法人協会(太田達男理事長)は、約1200の社団法人、財団法人などから構成されている公益法人の協会組織である。
現在、進められている公益法人改革に対して、対案として、2月20日に「新公益法人制度の提言」を発表したもの。
提言では、中間法人と公益法人を別にすること。公益法人に関しては、新公益法人という類型をつくり、準則主義(登記)で法人設立をできるようにすること。事後チェックを担当する新公益法人支援機関を第三者機関として設けること。原則非課税とすることなどが提言されている。
提言の全文は以下のホームページで読むことができる。
http://www.kohokyo.or.jp/hojin/teigen-shian030220.htm
NPO法人サイドからは、公益法人制度改革に対して、様々な意見表明や集会が行われているが、公益法人側も意見表明を開始しはじめたわけだ。
今後は、NPO側、公益法人側から様々な意見が出てくることが予想される。
また、提言発表にあたって、公益法人協会が発表したリリースと、案の概要は以下の通り。
平成15年2月20日
各位
財団法人公益法人協会
理事長 太田達男
新公益法人制度の提言について
謹啓 日ごろ弊協会の運営につきましてご指導、ご支援を賜りお礼申し上げます。
さて、現在、政府(内閣官房行政改革推進事務局および政府税制調査会)において税制を含む公益法人制度の抜本的改革に関する検討が進められており、その内容がすでに新聞、テレビ等で報道されていることはご高承のとおりです。
現在までに明らかになった内容を見る限りでは、民間の社会貢献活動を奨励し、支援するという視点が欠落しており、税制面では現状よりもむしろ強化しようとする意見すら伝えられております。
私たちは、小さな政府、規制緩和・撤廃、地方分権が進む21世紀の社会において、民間の発意と工夫による幅広い社会貢献活動が根づくためにどのような法制と税制が望ましいのかという観点から今回の改革はなされるべきと考えております。
そのためには、市民の自由で多種多様な社会貢献活動を支援する一方、その活動を担うにふさわしい重い規律(ガバナンス、コンプライアンス、ディスクロージャー)を備える、その規律に反する場合には解散も含め厳しい処置をとる、そのような制度にするべきと考えております。
このような弊協会の考え方を基本として、新しい制度の概要を別紙のとおり提言させていただき、今後の改革論議の参考になればと念じております。
ご高覧いただき、ご意見、ご批判を頂戴できれば幸甚に存じます。敬具
〔お問合せ・ご連絡は下記へ〕
(財)公益法人協会 事務局長 土肥寿員
TEL 03-3945-1017 FAX 03-3945-1267
E-mail dohi@kohokyo.or.jp
平成15年2月20日
財団法人公益法人協会
新公益法人制度の提言
(基本的な考え方)
21世紀を迎え日本の政治、行政システムは大きく変革を遂げようとしています。また、少子高齢社会において人々は「経済的豊かさ」とともに「心の豊かさ」を求める時代に入りました。
このような新しい社会では、自由にして活力があり、創造性、先見性、柔軟性、機動性をもった市民による市民のための活動の組織が、政府と営利企業と協調し、それぞれの特徴を生かしつつ大きな役割を果たすことを強く期待されています。
主務官庁による管理統制が土台となった現行公益法人制度は、純粋な民間公益活動の発展を阻害し、一方で行政の補完組織として設立された官製公益法人による様々な弊害が多くの識者から指摘されております。
新しい公益法人制度は、まさに市民による市民のための活動の組織として生まれ変わらなければなりません。新しい制度は、市民による自由で多種多様な公益活動を支援し、その一方で厳しい自己責任が要求されるものでなければなりません。また、この改革は単に公益法人制度の改革という視点にとどまらず、新しい日本社会の創造にも繋がるものであると考えております。
私たちは、このような考え方で新公益法人制度を作り上げたいと考え、提言させていただくものです。
(新制度の骨子)
- 法体系の枠組み
いわゆる共益を目的とする中間法人とは別に公益を目的とする新公益法人法(仮称)を制定する。 - 公益の定義
新公益法人の目的および事業は、時代・社会環境に即応し柔軟に対応できることに留意しつつ、できるだけ詳細に法律上規定する。 - 新公益法人の要件
残余財産の私的分配の禁止、実質的な政治活動の禁止など民間公益組織として不可欠な要件を明確に規定する。 - 法人種類
新公益法人は社団法人と財団法人に区分する。 - 設立
準則主義とする。 - 新公益法人支援機関(仮称)の創設
国(地方自治体を含む)の新公益法人支援政策と事後チェックを担当する新公益法人支援機関を第三者機関として設ける。 - ガバナンスと情報公開の徹底
重いガバナンス、役員の厳しい責任、広い情報公開を規定する。- 社員、理事、監事、評議員の任務と責任を明確にし、意思決定、執行、監督についてそれぞれの機能を分担する。
- そのため、理事には忠実義務、公平義務、公益遂行義務などの受託者責任を課し、監事の権限を強化し、財団の場合、評議員会に社員総会とほぼ同様の権限を与える。
- 代表訴訟制度、監査請求制度、解散請求制度を導入する。
- 一般国民を対象とする情報公開を義務づける。インターネットによる情報公開も法制化を検討する。
- 合併、組織再編制度
環境変化に機動的に対応できるよう合併、組織再編制度を設ける。 - 現存法人の移行措置
現存する公益法人・NPO法人の新公益法人または新非営利法人(新中間法人)への円滑な移行措置を講ずる。 - 税制上の支援措置
以上の法制を前提として、新公益法人の公益事業を支援するため、税制上次の措置を講ずる。- 本来事業にかかわる所得については、現行公益法人と同様非課税とする。
- 利子配当所得源泉徴収所得税の適用については、現行公益法人と同様非課税とする。
- 寄付税制については現行の特定公益増進法人制度および認定NPO法人制度を包括し、明瞭な具体的基準に基づく新寄付税制を今後検討する。また、富裕層資産の公益資産への流入を促進する税制のあり方についても前向きに検討する。
※基本的な骨子は上記のとおりですが、なお詳細は「新公益法人制度の試案」をご参照ください。