行政 : 公益法人改革、与党協議が混迷
公益法人制度改革で、与党3党の議論が混迷している。自民党は、中間法人と公益法人を一本化して「非営利法人」とする独自案をまとめ、原則課税とする案を与党3党の協議で示したが、公明党などが反対しているという。17日開かれた公益法人協会主催の緊急集会で経緯について報告された。
(財)公益法人協会(太田達男理事長)は、4月17日、都内で「公益法人制度改革 緊急報告会」と題する集会を開催した。
会場には、公益法人関係者を中心として約70名の出席があった。
公益法人協会の太田理事長と住友財団の石川睦夫専務理事から、与党3党の動きについて報告があった後、これまで公益法人制度改革に関して提言をしてきた様々な団体からそれぞれの立場についての表明があった。
報告者として話しをしたのは、以下のメンバー。
- 堀田力氏(さわやか福祉財団理事長)
- 松原明(シーズ事務局長)
- 堀内生太郎(助成財団センター専務理事)
- 大和滋(日本芸能実演家団体協議会事務局長)
- 徳川義崇(徳川黎明会専務理事)
公益法人協会から報告があった「公益法人制度改革その後の状況」では、以下のことが報告された。
- 自民党は、4月2日に行政改革推進本部公益法人委員会で以下のような意見集約を行った。
- 法人類型については、公益法人と中間法人を一括りにして「非営利法人」とする。
- 非営利法人の設立は準則主義とする。
- 非営利法人は課税法人とする。
- 社会貢献性の高い事業を行う非営利法人は法人類型ではなく、その事業に着目して、税制優遇措置を講ずる。
- 優遇措置の対象となる事業の基準は客観的な基準を法定する。
- 今後の予定
- 自民党は、4月8日、連立与党の政調会長・実務者会合を行い、この案を示した。公明党・保守新党からは、法人類型を一本化することや原則課税について異論が出た模様で、引き続き検討となっている。まとまれば、与党案として政府に提案されることになる。
- 公益法人協会の見解
- 中間法人と公益法人を中間法人レベルで一本化し、原則課税とした上で、事業のうち公益性のあるものについて税制上の優遇措置を与えるという内容は、従来、政府の行政改革事務局や懇談会で提案されたどのスキームよりも問題が大きい。最悪の制度といわざるを得ないものである。
このような報告に対して、各報告者からは、各団体が出した声明や運動の報告がなされた。
報告者を含め、会場からは、現在の案に対して、強い懸念と反発の声が相次いだ。
そして、今後、連携しあいながら、公益法人制度改革をきちんとした内容にしていく必要性、とりわけ、公益法人とNPO法人とが協力していく必要性について会場参加者を交えて意見交換が行われた。
なお、現在の与党3党の議論では、NPO法人は、いったんははずすということで決着がついた形となっている。
与党3党が話し合いを続けている状況だが、行政改革推進事務局は身動きができない状況となっていると見られ、3月末を目途に決定するとしていた「公益法人制度改革大綱(仮称)」の決定は、5月にずれ込みそうな状況となってきている。