行政 : 高連協有志も制度改革で提言
4月15日、高齢社会NGO連携協議会加盟有志(32団体)と公益法人協会は、連名で、「公益法人制度改革に関する緊急アピール」を発表した。法人制度については、非営利法人と公益法人の2つの類型をつくることのほか、公益法人については原則非課税を求めている。
アピールを出したのは、(社)長寿社会文化協会、(財)日本チャリティ協会、(社)テレビ朝日福祉文化事業団など32団体からなる「高齢社会NGO連携協議会加盟有志」(代表;堀田力、久野木行美)と、(財)公益法人協会(太田達男理事長)の2団体。
アピールは、次のような概要となっている。
- 公益法人制度改革については、市民の意見を十分聴取した上で、立案すること。
- 性質を異にする公益法人と中間法人だけを取り上げて一本化しないこと。
- 改革の理念を民間活力の社会的活用に置くこと。
- 非営利法人制度を一つつくるのではなく、非営利法人と公益法人という2種類の法人類型を整備すること。
- 公益法人に関しては、公益性の要件を客観的に定めること。
- 事後チェックのための第三者機関を設置すること。
- 公益法人に関しては、原則非課税とした上で、非本来事業は課税し、ただしみなし寄付金控除を100%認めること。
- 公益法人のうち一部は認定法人として、寄附優遇税制を適用すること。
緊急アピールの全文は以下の通りである。
公益法人制度改革に関する緊急アピール
平成15年4月15日
高齢社会NGO連携協議会加盟有志
32団体(末尾に列記)
代表 堀田 力
久野木行美
財団法人 公益法人協会
理事長 太田達男
現在、政府部内で検討中の公益法人制度改革を国民に有益なものとするため、私たちは、次の3点を、緊急に提言します。
1.改革案立案のプロセスについて
政府は、法人制度及び課税制度のあり方に関する複数の選択肢について、とらわれない立場で市民の意見を十分に聴取したうえ、改革案を立案されたい。
とくに、それぞれ性質を異にする公益法人と中間法人類型だけを取り上げて一本化するような拙速は避けられたい。
公益法人制度は、民間の知恵とエネルギーを活用して公益を実現するためのシステムであるところ、その主体である民間には多様な意見が在するので、これを十分に聴取しなければ、目的にかなう制度の立案を行うことは不可能である。
2.改革の理念について
改革の理念を、民間活力の社会的活用に置く。
悪質な法人の排除を最大の目標とすると、その手段が過大なものとなり、活かすべき活力をそぐ結果となる。
なお、悪質な法人の排除には、公益法人設立要件の客観化のほか、情報開示の徹底、市民の告発に基づく第三者委員会の調査や、補助金、助成金、委託金による事業に対する第三者評価などの方法がある。
3.私たちがベストと考える案
私たちがベストと考える制度の大綱は次の通り(議論のための選択肢として提言)
+---------+-+--------+
| | | |
|認定法人(仮称) | |非営利法人 |
|●寄附優遇税制適用| |●準則主義で設立|
+---------+ | |
|公益法人(仮称) | |
|●客観的要件を満た | |
| せば設立 | |
|●非本来収益事業は課税| |
+-----+-----+-----+--+
| 人格なき社団 |
+-----------+
(1)公益法人(仮称)について
(設立のための要件)
- 解散時を含め、利益を分配しないこと
- たとえば、「寄附金、寄附の性質を有する会費(特定者のため支出するものを除く)、補助金、助成金、行政の委託金及び寄附された資産の運用収入の合計が、総収入中一定の割合を占めること」のように、公益性の要件を客観的に定めること
- 情報公開及びガバナンスの仕組みが客観的基準を超えていること
(設立の手続き)
客観的に要件を確認することにより設立。事後チェックなどのため第三者委員会を設置
(税制)
原則非課税
非本来収益事業は課税。ただし、100%みなし寄附制度
(説明)
「公益とは(1)不特定多数の利益であって、(2)私企業では実現できないもの」であり、そのうち「(3)行政、立法、司法により実現できないもの」を公益法人(NPO法人、社会福祉法人、学校法人などを含む)が実現することになる。
上記(1)、(2)、(3)の要件が満たされ、その活動が必要とされるからこそ、公益法人には、寄附財産・会費・補助金・助成金及び行政の委託金が供せられるのであって、これら収入の比率をもって公益性を客観的に判断するのが相当である。
(2)認定法人(仮称)について
寄附優遇税制を拡大されたい
寄附などが多く拠出される事業は、公益性の高い事業であり、これに寄附などをすることは、税金の納付と同旨の負担をすることである。
したがって、寄附などについては税の負担を免除することが、公益の実現の範囲を広げることとなる。
高齢社会NGO連携協議会 有志団体(32団体)
- 社団法人エイジング総合研究センター 常任理事 吉田成良
- SP福祉・高齢社会研究所 代表(所長) 若林健市
- 社団法人家庭生活研究協会 理事 澤登信子
- 高齢社会をよくする女性の会 代表 樋口恵子
- NPO法人高齢者を支える学際的チームアプローチ推進ネットワーク 理事長 辻 彼南雄
- 財団法人さわやか福祉財団 理事長 堀田 力
- NPO法人さをりひろば 代表理事 城 英二
- 財団法人シニアルネサンス財団 事務局長 河合 和
- 財団法人生涯学習開発財団 理事長 松田妙子
- SKY協議会 常任理事 森本恒吉
- 財団法人すこやか食生活協議会 理事長 堤 恒雄
- NPO法人生活・福祉環境づくり21 事務局長 岩城 正
- 全国新聞シニアライフ協議会 事務局長 原 征
- 社団法人ダイヤ高齢社会研究財団 常務理事 蜂谷 幸夫
- 社団法人中高年齢者雇用福祉協会 事務局長 佐野保次
- 社団法人長寿社会文化協会 会長 一番ヶ瀬康子
- 社会福祉法人テレビ朝日福祉文化事業団 事務局長 佐方紀子
- 社団法人虹の会 理事長 伊東貞行
- NPO法人 ニッポン・アクティブライフ・クラブ 会長 高畑敬一
- 日本ウェルエージング協会 会長 生野 重夫
- 日本高齢者生活協同組合連合会 会長理事 木内 力
- 社団法人日本産業退職者協会 理事長 久野木行美
- 財団法人日本チャリテイ協会 理事長 高木金次
- NPO法人ホールファミリーケアー協会 理事長 鈴木絹英
- NPO法人バリアフリー協会 専務理事 澤田藤司之
- ブレインズバンク 代表 東原 功
- 財団法人ぼけ予防協会 事務局長 古賀忠壹
- 三井ボランティアネットワーク事業団 理事長 宮澤南夫
- 財団法人ユニベール財団 事務局長 小木曽利英
- ライフ・ベンチャー・クラブ 代表 東瀧邦次
- 日本高齢・退職者団体連合 会長 西田八郎
- 社団法人成年後見センター・リーガルサポート 理事長 大貫正男
(32団体会員数合計:1,489,462名)
以上