行政 : 石原大臣、事業毎課税案に難色
石原伸晃行政改革担当大臣は、4月18日の記者会見で、公益法人制度改革に関して、現在自民党で検討されている事業ごとに課税か非課税かを決める案について、「事務事業が煩雑になり、なかなか難しいという指摘が出ていることは理解できる」と否定的な見解を示した。
石原大臣は、記者会見の中で、自民党で検討されている案について、「事業毎に課税・非課税をチェックしていくことができれば、営利企業との不公平という問題はなくなるだろうが、それができないことから33事業を限定列挙して課税事業としている」とした上で、「一部自民党の中で出ている、事業毎に課税をしていくという案では、事務・事業が煩雑になり、職員をかなり増やしていかないと、なかなか厳しいということを税務当局がいっていることは、理解できる指摘である」と、実務的に難しいとの見解を示した。
また、自民党の案で、「非課税事業を法律で列挙する」という方式に対しても、「税法の改正というのは審議に時間がかかる。そういうものと時代の変化のスピードというのは必ずしも同等ではなくて、時代の変化・進歩の方が早い。そうしますと、いたちごっこになっていく。」と述べて、否定的な見解を示したものだ。
公益法人制度改革は、政府では、石原行革大臣が担当する行政改革推進事務局と、財務省が事務局を担当する政府税制調査会で、昨年11月から議論されてきた。
今年2月に、行革推進事務局が「公益法人とNPO法人と中間法人を一本化して非営利法人に」という案を作成。これを受けて、政府税制調査会のワーキンググループで「非営利法人は原則課税として、社会貢献性が高い法人だけを登録させて原則非課税にする。ただし、対価をとるような事業などは課税事業とする」とする案が検討された。
ところが、これに対して、NPO法人側が大反発。2月下旬から全国で反対のキャンペーン集会が相次ぐこととなった。
このような情勢を受けて、3月10日には、自民党の行政改革推進本部公益法人委員会が、政府の行革事務局に「NPO法人はいったんははずすよう」に申し入れを行った。
この結果、公益法人、中間法人、NPO法人を一本化するという構想がやり直しとなっている。
そのため、3月末を目途にまとめるとしていた「公益法人制度等改革大綱(仮称)」も現在でもまとまっていない状況となっている。
このような状況を受けて、自民党では、行革推進本部公益法人委員会を中心に、どのように公益法人制度改革を行うかを検討している。
その中で、現在、検討されているのは、以下のような案である。
- 公益法人と中間法人を一本化して非営利法人とする。
- 非営利法人は原則課税とする。
- 非営利法人のうち、社会貢献性の高い事業を行う法人は、その事業に着目して、税制優遇措置を講じる。
この案については、与党3党の協議でも、公明党が強く反対している。
また、公益法人協会などを始めとする公益法人サイドからも、「当初の案より問題のある最悪の案」との批判が強くなってきている。
石原大臣の記者会見は、さらに、行政サイドとしても実務的な問題があるとして指摘したものである。
この記者会見の記録の全文は、以下のホームページで見ることができる。
http://www.gyoukaku.go.jp/news/h15/news0418.html