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2003年06月27日 10:00

行政 : 公益法人改革の基本方針決定

 政府は、6月27日、閣議を開き、「公益法人制度の抜本的改革に関する基本方針」を閣議決定した。公益法人制度をやめ、非営利法人制度に切り換え、登記だけで設立する方式に切り換えることや、非営利法人を一定の優遇措置と切り離すことが盛り込まれている。

 

 基本方針は、6月24日に自民党で了承された「基本方針(案)」と同一のもの。

 政府は、今年3月末を目途に「公益法人制度等改革大綱(仮称)」の閣議決定を目指していたが、結果的には、「基本方針」というタイトルになった。

 基本方針の全文は以下の通りである。

公益法人制度の抜本的改革に関する基本方針

平成15年6月27日
閣議決定

1 改革の目的と検討の方向等

 我が国においては、個人の価値観が多様化し、社会のニーズが多岐にわたってきている。しかし、画一的対応が重視される行政部門、収益を上げることが前提となる民間営利部門だけでは様々なニーズに十分に対応することがより困難な状況になっている。

 これに対し、民間非営利部門はこのような制約が少なく、柔軟かつ機動的な活動を展開することが可能であるために、行政部門や民間営利部門では満たすことのできない社会のニーズに対応する多様なサービスを提供することができる。その結果として民間非営利活動は、社会に活力や安定をもたらすと考えられ、その促進は、21世紀の我が国の社会を活力に満ちた社会として維持していく上で極めて重要である。

 また、民間非営利活動は、国民一人一人に職場や家庭とは異なる多様な活動の場を与えるため、個人の価値観が多様化した現代社会に対応するものである。個人の様々な価値観を受け止め得る民間非営利活動を促進することによって、個人の活動の選択肢が広がり自己実現の機会が増進するものと考えられる。

 したがって、民間非営利活動を我が国の社会経済システムの中に積極的に位置付け、その活動を促進するための方策を講ずる必要がある。

 公益法人(民法第34条に基づく社団・財団をいう。以下同じ。)は、我が国の社会経済において重要な位置を占めているこのような民間の非営利活動を担う代表的主体として歴史的に一定の大きな役割を果たしてきている。

 しかしながら、主務官庁の許可主義による我が国の公益法人制度は、明治29年の民法制定以来、100余年にわたり抜本的な見直しは行われておらず、特別法による法人制度を除き、近年に至るまで、一般的な非営利法人制度がなかったため、時代の変化に対応した国民による非営利活動の妨げになってきたとの指摘がある。

 特に、公益法人は、公益性の判断基準が不明確であり、営利法人類似の法人や共益的な法人が主務大臣の許可によって多数設立され、税制上の優遇措置や行政の委託、補助金、天下りの受け皿等について様々な批判、指摘を受けるに至っている。

 こうした諸問題に対処し、更に21世紀の社会経済の一翼を担う民間非営利活動の発展を促進することが喫緊の課題となっていることから、次の方針をもって公益法人制度の抜本的改革に取り組むこととする。

2 新たな非営利法人

(1) 一般的な非営利法人制度の創設

 現行の公益法人制度は法人格の取得と公益性の判断や税制上の優遇措置が一体となっているため、様々な問題が生じている。

 このため、法人格を一定の優遇措置と分離し、公益性の有無に関わらず新たに非営利法人制度を創設する。

 この非営利法人制度は、民間の非営利活動を促進するため、準則主義(登記)により簡便に設立できるものとし、そのガバナンスについては、準則主義を採る現行の中間法人や営利法人を参考にしつつ、法制上の在り方を検討する。

 なお、非営利法人制度の設計に当たっては、現行の公益法人制度の問題点を踏まえた検討を行い、現行の中間法人制度・NPO法人制度との法制上の関係を整理することとする。

(2) 非営利法人における公益性

 公益性を有する場合の優遇措置の在り方については、特別法に基づく法人制度を含めた全体の体系の整合性に留意しながら引き続き検討する。その際、

  1. 公益性の客観的で明確な判断基準の法定化、独立した判断主体の在り方 
  2. ガバナンス、残余財産の在り方、情報開示、プライバシーの保護等

を含め検討する。

3 新たな非営利法人に対する税制上の措置

 法人は、普遍的な国民の納税義務の下で、一般的に納税義務が課せられており、公益性を有するなど一定の場合に税制上の優遇措置が講じられている。新たな非営利法人に対する税制上の取扱いについては、こうした考え方を踏まえつつ、非営利法人制度の更なる具体化にあわせて引き続き検討する。

4 移行等

 現行の公益法人から制度改革後の非営利法人への移行については、公益法人が現に公益活動を営んでいることに配慮しつつ公平かつ合理的なシステムの下における円滑な移行措置の在り方について検討する。

 また、財団については、今般の改革の趣旨を尊重しつつ、制度的課題も含め、その在り方を検討する。

5 今後のスケジュール等

 有識者の協力を得つつ、関係府省との連携の下、内閣官房において上記の新たな非営利法人制度の検討を進め、平成16年末までを目途にさらに基本的枠組みを具体化した上で、所管省において税制上の措置に係る専門的検討を進めることとし、平成17年度末までに法制上の措置等を講ずることを目指す。

 その間、新たな制度の検討状況を適時に公表する等、広く国民の理解を得つつ、円滑に改革を推進するよう努めるものとする。

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