行政 : 千葉県、里山保全条例施行
千葉県は、5月18日に、都道府県では全国初となる「里山保全条例」を施行した。この条例で里山の保全、整備、活用を促進することがねらい。NPOと里山保有者との間で結ばれた協定を知事が認定し、その活動を県が支援する「里山活動協定制度」の創設などが盛り込まれている。
この条例の正式名称は「千葉県里山の保全、整備及び活用の促進に関する条例」。
同県で第54回全国植樹祭が開かれた5月18日に施行された。
この条例では、里山を、多様な生き物の宝庫であるとともに、洪水や土砂災害の防止、余暇や環境学習、伝統文化の継承などの場として貴重な財産であると位置づけ、その保全、整備、活用を促進するために県が積極的な役割を担う必要があると規定している。
県の責務を明確にする一方で、県民や里山活動団体、里山所有者、里山の存在する市町村などが連携して、里山の保全に取り組むことを期待しており、県はそれらが行う活動の充実その他の必要な措置を講ずる。
具体的には、県は以下のようなことを実施していく。
- 「里山基本計画」を策定し、里山の保全、整備及び活用についての施策を総合的・計画的に実施する。
- 施策についてインターネット等により、広く県民の意見を聴く。
- 県が行う公共事業の実施にあたっては里山の保全に配慮する。
- 里山の知識や整備のために必要な技術の習得などを目的とした講習会の開催など学習機会の提供
- 里山活動に参加を希望する県民への活動場所や活動内容に関する情報の提供
- 里山の保全、整備及び活用方法についての調査・研究の実施
また、里山活動団体と里山保有者との間で結ばれた協定を知事が認定し、その活動を県が支援する「里山活動協定制度」が創設された。
これは、NPOなど里山活動団体と里山所有者との間で、区域、活動内容、協定の有効期間、協定に違反した場合の措置などを定めた「里山活動協定」を結び、その協定を県が認定する仕組み。認定した活動には、財政的支援も含めたさまざまな支援をしていく一方で、条例の理念に反する事態が生じた場合には、認定の取り消し権限も担保されている。
県はこの条例が施行された5月18日を「里山の日」と定め、県民が里山に関心をもってもらえるようなイベントなどを開催していく。
県の担当者によると、「今まで、貴重な自然を保全するために、保全地区を定めたり、土地所有者に補助金を出すなどの条例はあったが、今回のように、保全、整備、活用までを県の責務とした都道府県レベルの条例ははじめてではないか」と話す。県北に偏りがちなNPOなど市民団体の活動を県南の土地所有者に紹介するなど、細やかなサービスも実施していく意向。今後は市町村の担当者への説明会を順次実施し、夏ごろまでには認定の作業を開始する。