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2003年07月16日 10:00

行政 : ボランティア商標問題で協力を

(株)角川ホールディングス(旧角川書店)が、雑誌・新聞の分野で「NPO」と同時に、「ボランティア」の語も商標登録していた件で、大阪ボランティア協会をはじめとする5つのボランティア団体が特許庁に対して異議申立をおこなう準備を進めている。7月12日、5団体は、全国のNPO・ボランティア団体に対し、題号に「ボランティア」の文字を含んでいる定期刊行物があれば提供してくれるよう呼びかけを発信した。特許庁に対して、異議申立理由の証拠として提出するのが目的。

 

2002年1月18日に、(株)角川書店(本年4月からは(株)角川ホールディングス、以下「角川」)は、雑誌・新聞についての商標として「NPO」と「ボランティア」を出願した。その後、特許庁が審査をした結果、2003年4月25日に登録され、5月27日には商標掲載公報に掲載され、この2語についての商標権が正式に角川に発生した。

「NPO」が商標登録されたことに対しては、NPOの情報発信に制約が生まれる可能性が生じたとして、現在、シーズを含む5つのNPO団体が特許庁に対して異議申立をおこなう準備を進めている。

他方、「ボランティア」についても、商標登録によって、NPOやボランティア団体が「ボランティア」の語を含む題号の定期刊行物を発行できなくなる可能性が出てきたため、大阪ボランティア協会、静岡県ボランティア協会、とちぎボランティアネットワーク、日本ボランティアコーディネーター協会、富士福祉事業団の5団体が、特許庁に対して異議申立の準備を始めた。7月12日、5団体は、全国のNPOとボランティア団体に対して、題号に「ボランティア」の文字を含んでいる定期刊行物の提供をお願いするメールを発信した。

今回、提供を依頼している資料は、雑誌、新聞または、機関紙、情報誌、ニューズレターなどの定期刊行物で、その題号に「ボランティア」の文字を含むもの。かつ、2002年1月18日(角川の商標登録出願日)以前から継続的に発行しているもの。有料無料は問わない。

上記の資料を必要とする理由は、今回の角川による2002年1月18日の商標登録出願以前から、ボランティアの語を題号に含む雑誌・新聞・機関紙・情報誌・ニュースレターなどの情報発信媒体が数多く出され、その活動において重要な役割を担っていること、今回の商標登録でこれらの情報発信媒体が、その発行に制約が生じる可能性があること、などを根拠付け、登録異議申立の理由を補足していきたいと考えているため。

この件に関する問合せ先は、大阪ボランティア協会
〒530-0035 大阪市北区同心1-5-27
tel: 06-6357-0044   fax: 06-6358-2892
E-mail: hayase@osakavol.org

7月12日に発信された依頼書本文は下記のとおり。


2003.07.12
「ボランティア」の商標登録異議申立のための証拠収集へのご協力のお願い

社会福祉法人 大阪ボランティア協会 理事長 岡本榮一
特定非営利活動法人 静岡県ボランティア協会 常務理事兼事務局長 小野田全宏
特定非営利活動法人 とちぎボランティアネットワーク 事務局長 矢野正広
特定非営利活動法人 日本ボランティアコーディネーター協会 運営委員長 筒井のり子
財団法人 富士福祉事業団 理事長 枝見太朗
(所属組織名順に、アイウエオ順)

 先般、新聞紙上で大きく報道されたように、昨年、角川書店が「ボランティア」「NPO」を雑誌・新聞の分野において商標登録を出願し、今年4月25日、特許庁がこれを認め、5月27日に公報の掲載しました。(登録時点では、持ち株会社の「角川ホールディングス」が商標権を取得する形になっています) これについては、多くの市民活動団体、市民活動推進機関が、「ボランティア」や「NPO」を題号に含む雑誌・新聞を発行している中、その中核的な用語である「ボランティア」「NPO」が商標登録されることによって、市民活動団体の情報発信に制約が生まれる可能性が高いと考えます。(理由の詳細は、後述しています)

 そこで、上記の2つの商標登録のうち、「NPO」の商標登録については、当協会をはじめNPOに関わる数団体が中心となって、特許庁への異議申立の準備を進めていますが、「ボランティア」の商標登録についても、当協会を事務局として、異議申立の準備を進めることになりました。 この異議申立にあたっては、既に「ボランティア」「NPO」の用語を冠した雑誌・新聞が広く流通しており、単に「ボランティア」「NPO」という言葉だけの題号を設定しても、商標としての識別力がなく、今回の商標登録は誤りであることを、一つの論拠にする予定です。

 この論拠の「証拠」として、既に多くの団体が「ボランティア」や「NPO」を雑誌・新聞の題号として使用していることを示さねばなりません。
 そこで、「ボランティア」について、大阪ボランティア協会が事務局となり、資料の提供をお願いし、問題意識を共有する皆さまとともに異議申立をしたいと思います。 (「NPO」の商標登録については、すでに大阪NPOセンターが事務局となり、証拠としての発行物の提供を全国にお願いしていますが、これは「NPO」についてのみしか有効ではありません。そこで、「ボランティア」については、当協会で資料の収集をするものです)

 異議申立の期限は、公報掲載から2ヶ月以内ですので、7月27日までに異議申立を行わねばなりません。そこで、至急、皆さんから資料の提供をいただきたいと考えています。

 つきましては、短期間でのお願いで誠に申し訳ありませんが、ご協力のほどどうかよろしくお願いいたします。

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下記の要件に当たる雑誌・新聞等の定期刊行物を発行しておられる方か、それに関係している方への、資料提供のお願い

1 次のすべての要件に合致する定期刊行物を探しています。

 1)その題号に「ボランティア」の文字を含んでいること(「月刊○○ボランティア」「ボランティア情報」などのように、その媒体を表示するものとして毎回使用するものに限ります。特集号などで、単発にボランティアを含んだサブタイトルを付けた場合などは対象外です)。

 2)雑誌、新聞または、機関紙、情報誌、ニューズレターなどの情報発信媒体(有償無償を問いません)
 3)定期刊行のものであること(日刊、週刊、月刊、旬刊、季刊、年刊など)
 4)2002年1月18日(角川書店の商標登録出願日)以前から継続的に発行しているもの。

2 お願いしたいこと
 1)上記に該当する刊行物について、下記のものを、お送りください。

   イ 現時点での最新分1冊。
   ロ 発刊物につき、2003年1月から4月ころの間に発刊したもののうちの1冊(可能なら3月発刊分)。(登録査定時のもの)
   ハ 2001年内に発刊されたもの1冊。(複数ある場合は、時期的に新しいもの)(登録出願直前のもの)
   ニ 当該刊行物の最も古いものか、それに近いもの1冊(初版がベスト)

 2)上記は、できましたら現物をお送り頂くのが幸いですが、現物が不可能でしたら、「題号の入っている表紙部分」と、「発行者・発行年月日の入った個所」のコピーを代わりに送っていただいても結構です。

 3)送っていただくのは、1)のイロハニ全部があればベストですが、無理な場合は、あるだけでも結構です。 もし、最初の発刊日のものが送付不可能でしたら、「最初の発刊年月日」をメモ してお教えくださいますよう、お願いします。

 4)送付いただく際に、下記の内容をメモでお教えください。
   イ 刊行物が有償で頒布されるものか、無償で頒布されるものか
   ロ 頒布の対象が会員に限定されるか否か
   ハ 無償頒布であっても会員から別途会費等を徴収しているか否か
   ニ 年間発行回数

 5)送付先・問い合わせ先
   大阪ボランティア協会
   〒530-0035 大阪市北区同心1-5-27
   tel: 06-6357-0044   fax: 06-6358-2892
   E-mail: hayase@osakavol.org
   (送付の封筒の表紙に「商標の件」とお書きください)

 6)送付費用は、誠に申し訳ございませんが、ご負担を頂きますよう、 ご協力をお願いいたします。

 7)送付の際には、こちらから確認をさせていただく場合のために、送付者名、担当者名、連絡先、電話、メールアドレスなどが分かるように記載して頂きますよう、お願いいたします。なお、お送りいただいた場合に、その都度、着いた旨のご連絡は致しませんが、ご了承のほどお願いいたします。

 8)お送り頂いたものは、特段の事情がある場合は除き、お返しを致しませんので、何とぞご理解をお願いいたします。

 9)期限
   第一次期限 2003年7月18日(できる限りこの日までにお願いします。早い方が助かります)
   第二次期限 2003年8月10日(最終期限)

3 補足説明
 上記の資料を必要とする理由は、今回の角川による2002年1月18日の商標登録出願以前から、ボランティアの語を題号に含む雑誌・新聞・機関紙・情報誌・ニュースレターなどの情報発信媒体が数多く出され、その活動において重要な役割を担っていること、今回の商標登録でこれらの情報発信媒体が、その使用に制約が生じうる可能性があること、などを根拠付け、登録異議申立の理由を
補足していきたいと考えているためです。
 このお願いは、これら情報媒体の発信者等を念頭にするものではありますが、この方々に限らず、これに関する情報等がありましたら、お寄せくだされば幸いです。

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★異議申立を行う理由★
 「ボランティア」等の商標登録による弊害発生の可能性について

 今回、「ボランティア」等が、雑誌・新聞の名称として商標登録されましたが、商標の効果とは、商標権を持つ団体(今回の場合は角川ホールディングス。以下、「角川」とします)以外の者が、「ボランティア」と「同一又は類似の範囲内で」雑誌・新聞の名称を使用することを、権利侵害とみなし、侵害行為の差し止め、損害賠償等の請求をすることができます。

 ただし、商標の中でも雑誌・新聞については、特許庁の内部基準で、その「題号は、原則として、自他商品と識別力がある」としており、他の商品類と違い、比較的似ている名称でも、別の商標として認められるケースが多くなっています。 事実、「ラグビー」と「ラグビーマガジン」、「モーターボート」と「モーターボートマガジン」がいずれも商標として登録されています。今回、角川の商標登録にあたっても、すでに「ボランティアマガジン」が登録されていましたが、上記の事例があることから「ボランティア」の題号も認められるべきだと角川が主張し、これが特許庁によって認められたものです。

 しかし、では、ほんの少しでも違えば何でもOKかと言えば、そうではなく、これまでにも「新少年」と「週刊少年」、「プレジデント」と「プレジデントレター」、「文化生活」と「画報文化生活」が、それぞれ類似とみなされ、片方の発行ができなくなりました。
 つまり、今回の特許庁の決定で「ボランティア」「NPO」の言葉を含む名称の雑誌や新聞すべてが禁止されるわけではありませんが、これらの言葉を含む名称にしようとすると“常に”角川書店の商標に抵触するかどうか気にしなければならなくなったわけです。
 情報発信は市民活動にとって極めて大切な要素ですが、それが制約を受けることにつながりかねないわけです。

 また、今回、角川は、社告で自らの商標権は「各地のNPOもしくはボランティア団体が非営利の目的で『NPO』や『ボランティア』の文字を含むタイトルの新聞、雑誌、機関紙、会員誌、パンフレット、リーフレット、その他の印刷文及び書籍を発行する場合には及ばないと考えております」と宣言しています。
 確かに商標法では、商標の定義として「業として…使用する」という規定があり、「業として」、つまり反復・継続的に提供されない場合、そもそもそれは商標ではなく、商標権を侵害するとはみなされません。
 しかし、元来、継続的に発行されているものの場合、それが営利目的であるかどうかにかかわらず、商標法の規制の範疇に入ります。
 つまり角川は、「非営利団体の場合は黙認します」と言っているにすぎないわけです。今回の角川の姿勢には、市民活動団体に対する“温情”を感じることができますが、しかしそれが対等な関係でないことは明らかです。

 このように、今回の特許庁の判断は、市民活動が自由に活動を進める際の障害となる可能性が高いと考えます。そこで、当協会としては、特許庁に対して異議申立をしようと考えています。

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