行政 : 経産省、行政サービス外部化報告
6月10日、経済産業省の「パブリックビジネスの影響に関係する研究会」は、自治体が行政サービスを民間に委託していく上での留意点などを報告書にまとめて発表した。報告書では、事業の外部化の効果として、地域の産業振興、雇用創出をあげ、NPOなどによるコミュニティビジネスを積極的に活用すべきだとしている。
経済産業省は、平成15年1月から3月まで、商務情報政策局長の私的研究会として、「パブリックビジネスの影響に関係する研究会」(座長:清家篤・慶應義塾大学商学部教授)を設置した。この研究会は、公共サービスのうち、民間が取り組むことが可能なものを「パブリックビジネス」と呼び、その可能性、留意点などを検討して報告書にまとめた。
報告書では、パブリックビジネスの推進にあたっては、単に業務を行政から民間に移譲していく「ゼロ・サム」の考え方ではなく、行政、住民、民間の「三方一両得」を目指すべきだとしている。すなわち、行政は効率化し、住民は行政サービスの質の向上を享受し、民間においては、新たな産業や雇用を創出するような、それぞれがその効用を高めていくことを目指して外部化を実施する必要があるとしている。
また、自治体が行政サービスを外部化する場合の留意点として、事前に、住民、行政、受託業者の間で十分にコンセンサスを形成すること、外部化の目的を明確化して最適な受託者を選定することの必要性などを挙げている。さらに、民間委託した後にサービスの低下が生じる恐れもがあるとして、契約期間を短くして入札を実施したり、複数業者によって事業が実施されるなど、競争原理が働く事業環境が望ましいとしている。
このほか、行政サービスの外部化にあたっては、NPOなどが取り組むコミュニティビジネスを活用して、新しいサービス産業の育成や雇用の拡大を図っていくように求めている。
この報告書の全文は、経済産業省サイト内、下記で公開中。
http://www.meti.go.jp/kohosys/press/0004121/