行政 : 国、法制定で環境教育推進
7月18日、「環境の保全のための意欲の増進及び環境教育の推進に関する法律」が参院本会議で可決、成立した。企業や学校現場での環境教育の導入を支援するほか、NPOなどが実施する環境教育の推進に必要な税・財政上の措置を講ずることを努力義務としている。
同法は、2002年に開催されたヨハネスブルグ・サミットをきっかけに検討が開始されたもの。同サミットで日本は、「教育は持続可能な開発を達成していく上で必要不可欠な要素である」とし、「国連持続可能な開発のための教育の10年」を提案。その後、国連総会本会議で採択された経緯があり、環境保全を担う人づくりを進める気運が高まっていた。
この法律の目的は、環境保全活動を推進するための基本理念を定めるとともに、国、地方公共団体、国民、NPO、企業など各層の責務を明らかにすること。
具体的には、国による基本方針の策定を義務規定としたほか、企業や自治体の雇用者による従業員への環境教育の実施、国、自治体が学校教育や社会教育の場で環境体験学習の充実策を講じるようにすることなどが努力規定として盛り込まれている。
また、民間団体が自主的に実施している環境保全指導者の育成認定事業を登録する制度を創設する。この制度の創設にあたってはNPOなどから民間の活力を不当に制限する恐れがあると指摘されてきたが、環境省では、「さまざまな主体が実施している人材育成事業が主に宗教の普及目的ではないことなど、最低限の質の確保を担保するもので、そのような趣旨の制度ではない」と説明している。
そのほか、環境教育を推進する情報提供拠点を整備することや、NPOなどが情報交換や交流などができるように機会を提供する支援を行うことなどが規定された。
法律では、これらの施策を進めるために、国、地方公共団体が、必要な財政上、税制上の措置を講ずることを求めている。
しかしながら、環境省によると、NPOへの税制措置は、今年4月に認定NPO法人制度が一定緩和されたことを受け、さらなる緩和措置を要求していく予定はないとのこと。公益法人制度改革の動きもあるので、当面は、特定公益増進法人として認定されている環境関係の法人のPRに努める。
法律自体の施行は本年10月1日だが、基準づくりに時間を要する登録制度は、来年10月1日施行。環境省では、来年の完全実施までには、基本方針を策定したいとしている。