行政 : シーズ、商標登録勉強会開催
9月3日、文京シビックホール(東京)で、シーズ主催の勉強会「NPO商標登録問題を考える」が開催された。この勉強会は、角川書店によって「NPO」という語が雑誌・新聞を指定商品として商標登録されたことに関して、シーズを含む6団体が特許庁に対して異議申立をおこなったことを受けて開催されたもの。
今年4月に、「NPO」という語が角川書店などの持ち株会社角川ホールディングスによって“雑誌・新聞”の名称として商標登録されたことで、「NPO」という語を題号にした雑誌や新聞を発行すると商標権侵害に当たる可能性が生じた。
この商標登録に対して、NPO側は、活動の根幹にある定期刊行物の題号に「NPO」の語を使うことが制限されると反発した。現在、シーズを含む6つのNPO団体は、この登録は特許庁の誤った判断だとして、7月24日に特許庁に対して異議申立をしている。
3日の勉強会では、NPO関係者を中心に約50名の参加があった。
まず、主催者側から、異議申立に至った経緯と根拠が報告され、つづいて、講師として招かれた望月尚子弁理士と西村雅子弁理士によって、商標についての基礎知識と、今回の商標登録でどのような事態が起こりうるのか、シーズなどが異議を申し立てている根拠は何なのかなどが解説された。
弁理士の解説によれば、
- 今回の「NPO」一語による商標登録は、きわめて識別性が低いものだけに、既存の「NPO—」「—NPO」といった題号の雑誌や新聞が、すべて、すぐさま権利侵害となる可能性は低い。
- しかし、「NPO」という語の持つ公共性、とりわけ、これまで市民活動によって社会的に普及した経緯をかんがみると、本来、誰もが使用できるはずの「NPO」という語が商標登録されたことは特許庁の判断ミスであると考えられる。
ということであった。
また、参加者との質疑応答では、商標の専門家である弁理士に対して多くの質問がなされ、商標に対するNPO関係者の関心の深さを示した。また、意見交換では、「これまで、皆で使っていた言葉が、突然、“誰かのもの“になってしまったことは釈然としない」といった率直な意見もあがった。