行政 : 駐車違反取締りもNPOで
警察庁の「違法駐車問題検討懇談会」(座長・宇賀克也東大教授)は9月18日、駐車違反取締まりをNPO法人など民間に委託することや、駐車違反の責任を車両の所有者にも求めることを柱とした違法駐車対策の抜本的な制度改革をまとめ、同庁に提言した。
「違法駐車問題検討懇談会」(座長・宇賀克也東大教授)は、今年4月より、駐車違反取締まり制度の抜本的改革を検討してきた。
9月18日に警察庁に出された「違反駐車問題への対処の在り方についての提言」では、取締りの民間委託推進と、違反車両の持ち主に制裁金を科す所有者責任制度の導入を柱にしている。
現在、駐車違反の取締りは警察官か交通巡視員にしかできない。
提言によると、民間委託は、都道府県警が委託する地域を決め、民間企業やNPO法人などが参加できる入札によって決める。受託した法人は、場所や時間帯を定めた警察のガイドラインに沿って取り締まる。
取締りにあたっては、違反車両にステッカーを張ってデジタルカメラで撮影して違反事実を確認して警察に渡し、警察が違反しているかどうかを判断する、という仕組みをとる。みなし公務員規定を設けて、取締まりをする人が、わいろを受け取ったり、暴行を受けたりすることがないようにする。
また、現行の制度では、違法駐車の運転者を特定しなければ反則金を科すことができない。そのため、「自分は駐車していない」と主張する運転者の逃げ得を許したり、違反ステッカーをはられた運転者の約2割が出頭して来なかったりする実態がある。
そこで、欧米諸国で導入されている所有者責任制度を採用するよう提言。ただ本人が駐車違反をしたわけではないため、刑事責任を追及する制度ではなく、前科の付かない行政制裁金を科すべきだとしている。また、納付金を払わない場合には車検を拒否するなどの措置も検討するように求めている。
警察庁はこの提言を受け、年内に道路交通法の一部を改正した試案を作成し、国民の意見を聞いたうえで来年の通常国会に法案を提出する方針だ。
「違反駐車問題への対処の在り方についての提言」は警察庁サイト内、下記のページで閲覧できる。
http://www.npa.go.jp/koutsuu/kikaku11/teigen.htm