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2003年10月07日 10:00

行政 : 民主、NPO税制支援拡大を公約

 10月5日、民主党・自由党合併大会が開催され、民主党のマニフェスト(政権公約)が発表された。マニフェストでは、NPOの6割が税制支援を受けられるよう税制を緩和することが掲げられている。

 

 民主党は5日、東京・芝公園の東京プリンスホテルで、旧自由党との合併大会を開き、次期衆院選のマニフェストを発表した。

 このマニフェストは、民主党が次期衆院総選挙に向け、政権を獲得した場合の「第1期政権4年間の最低公約」と位置づけているもの。9月19日に民主党の両院議員総会で承認された第一次草案に加えて、菅直人代表からのメッセージと総論部分が起草され、また、一部公約内容が追加された。

 あらたに起草された菅代表からのメッセージ「菅直人から国民の皆さんへ」では、マニフェストの重点公約として、1)基礎年金の税方式への移行、2)凶悪犯罪への罰則強化と警察官の増員、3)川辺川ダム・諫早干拓・吉野川可動堰計画の即時中止、4)高速道路の無料化と道路公団の廃止、5)国会議員数1割以上、公務員人件費の1割以上を4年間で削減、6)30人学級制と学校5日制の見直し、7)補助金18兆円を地方の自主的な財源に、などの7項目が掲げられた。

 第一次草案との関係では、年金と消費税、憲法、郵政改革、イラク支援についての内容が追加された。

 具体的には、公的年金改革に関連し、基礎年金の財源について、「経済成長が回復することを条件に、消費税の一部を年金目的税化して確保する」と明記。景気回復後に、消費税率引き上げを含めて検討する姿勢を新しく打ち出した。

 憲法改正に関しては、憲法論議を積極的に進めて、従来の「論憲」から「創憲」へと発展させるとして、改憲寄りの姿勢を示している。

 また、郵政改革では郵便事業に「2年以内の民間参入の推進」を掲げ、郵便貯金・簡易保険は「資金を地域、中小企業に役立てるシステムの構築を活性化に生かす」仕組みづくりを提言したものの、民営化などの最終的な経営形態については結論を保留した。

 イラク支援については、イラク復興支援特別措置法に基づく自衛隊派遣には反対し、同法の廃止・見直しを主張した。一方、復興支援を目的として、イラク国民による政府の樹立と安保理決議を前提として、憲法の範囲内での「自衛隊の活用」を容認する姿勢も示した。

 NPOに関しては、総論「私たちがめざす信頼される政策」のなかに「NPO」の項を設け、「これからの日本は、民間企業や行政組織の中で専門知識を身につけた人たちに加え、NPOで非営利活動に従事しているみなさんの力もお借りして、多くの国民の知識と技術を国や地域の運営に活かすべき」とした。

 マニフェストになかでNPO支援税制に関連した部分としては、6割のNPOが税制支援を受けられるように、現在のNPO支援税制を大幅に緩和すること、加えて、少額寄付の促進のため、1万円以下の寄付でも所得控除を受けられるようにするという目標が掲げられた。

 さらに、失業率を5%から4%に引き下げる公約実行のための施策として、福祉・環境部門の産業育成、NPO育成を挙げた。

 また、待機児童解消をめざして、保育拡充のためにNPOを活用することも盛り込まれた。

 このほか、外交政策では、大使等に、学者やNGO関係者などを積極的に任用するとしている。

 マニフェストの全文は民主党のサイト内、以下のURLで見ることができる。
 http://www.dpj.or.jp/manifesto/

 NPOに関連する部分は以下のとおり。

II.私たちがめざす信頼される政策 ―民主党ビジョン(D-Vision)―

NPO

 政界、官界の大改革をすすめる一環として、私たちは多くの国民が公共的な政策や自治体の運営に参画できるような対応をすすめます。

 政策課題がどんどん複雑かつ高度になり、変化のスピードも速くなっています。行政組織の中にずっといる官僚や役人だけでは、世の中の実情やニーズについていけなくなっています。そのことが、国民のみなさんのニーズに対応できない、場合によってはニーズとかけ離れた行政を行うことにつながっています。

 これからの日本は、民間企業や行政組織の中で専門知識を身につけた人たちに加え、NPOで非営利活動に従事しているみなさんの力もお借りして、多くの国民の知識と技術を国や地域の運営に活かすべきです。

 そのためにも、私たちはNPOがより大きく育つように、NPOの6割に税制優遇が可能となるようなNPO税制の仕組みをつくります。

III マニフェスト-民主党は約束します。

一 失業のない、つよい経済を再生します。

1 景気を回復させ、「仕事」と「雇用」を生み出します。

(1)失業率を4%台前半以下に引き下げます。

 現在5%台半ばの失業率を、任期中に4%台前半以下に引き下げることをめざし、中小企業対策や分権による地域経済対策、「緑のダム」をはじめ公共事業の転換、福祉・環境部門の産業育成、良質な住環境の整備、NPO育成等、公的部門を含めた積極的雇用創出などによって、新たな就業機会を拡大し、雇用を増やします。また、民間の創意工夫を生かした職業再教育の充実を図ります。

三 「自立力」をもった活力に輝く地域を創造します。

5 6割のNPOに税制でも支援します。

 特定非営利活動法人(NPO)を、地域のサービス等の供給の担い手、雇用の受け皿として育成・支援します。

 任期中に、全国1万2000余のNPOのうち、僅か15法人(2003年8月現在)しか認定されてない税制優遇の認定要件を、その6割が認定を受けられるように大幅に緩和します。また、少額寄付をしやすくするため、個人がNPO法人に行う寄付の所得税控除を1万円以下の寄付でも認めます。

四 子どもや高齢者、女性、誰もが安心して働き、暮らせる社会をつくります。

2 子どもたちを健やかに育成します。

(2)幼保一元化やNPO支援で保育を拡充し、学童保育も2万箇所に増やします。

 約3万人といわれる保育所入所を待つ待機児童の解消をめざし、厚生労働省=保育所と文部科学省=幼稚園という縦割りによる分離を是正し、幼稚園と保育園の「幼保一元化」を推進します。また、NPOなどが行っている駅前保育・保育ママなど地域の多様な資源の積極活用を含め、平成16年度から待機児童解消に向けた具体策を実行に移します。

 現在、約1万3000箇所で行われている学童保育を4年間で2万カ所に増やし、指導員も4万人から6万人へと増員します。さらに、父母の就業実態に併せた保育時間の延長などを含め、待機児解消に向けて、少なくとも初年度約300億円の予算を確保します。

五 国民の命と健康を守る つよい社会を実現します。

3 国連中心主義で世界の平和を守ります。

(5)大使等の民間登用率を2割に向上させます。

 「日本の顔」として柔軟かつ効果的な外交を展開するため、大使等(特命全権公使を含む)の任用を、学者、NGO関係者、首長や政治家経験者などに広げ、日本人の顔の見える活力ある外交を推進します。大使等の民間人登用を、現在の6%から当面20%を目標とし、政権獲得後の4年間で達成します。

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