行政 : 水害の嘉穂劇場、NPOで再建へ
7月の水害で壊滅的な被害を受けて閉鎖した嘉穂劇場(福岡県飯塚市)が、9月30日、NPO法人の設立認証を福岡県に申請した。広く市民の支援を得て劇場を再建して、まちづくりの拠点となるような劇場運営を目指す。
嘉穂劇場は築72年。江戸時代の歌舞伎様式を伝える木造の芝居小屋。84歳になる伊藤英子氏が養子夫婦と経営する、全国でも珍しい個人経営(合資会社)の劇場として知られていた。
今年7月19日に九州を襲った大雨による水害で、劇場は浸水し閉鎖に追い込まれた。全面修復が必要となり、再建費用は約3億円。募金活動や、俳優の津川雅彦氏らが支援イベントを開くなど支援の輪が広がっている。
劇場側は、再建のために寄せられた一般市民からの支援に応えて、より公益性のある、まちづくりの拠点となるような劇場として再出発したいと考え、NPO法人化を決定した。また、公益性のある劇場として、再建に必要な財政支援を企業や行政から受けるためにもNPO法人格がふさわしいと判断した。
理事長に就任する伊藤英昭氏は、
「劇場再建に向けて一般から寄せられた支援を考えると、再建後の嘉穂劇場は公共的な劇場になるべきだと思った。
収益事業として一般公演も続けるが、NPOの本来事業としては、劇場を地元の劇団の練習場として使ってもらったり、演劇体験教室などをおこなうことを予定している。
こうした文化振興事業を通して、まちの活性化に寄与するような劇場にしていきたい。」
と語った。