行政 : 日本経団連、政策評価基準発表
9月25日、日本経団連は各政党の政策を評価する際の基準となる「優先政策事項」を発表した。税制改革、社会保障、規制・行政改革など10項目から成る優先政策をあげているが、教育政策においては、株式会社やNPOによる学校設立を推奨している。
旧経団連は、1994年に、相次ぐゼネコン汚職などを契機に、政治献金の斡旋を廃止した。その結果、経済界の政治への影響力が低下し、他方、個々の企業の利益誘導のための献金が拡大する傾向が生じた。
昨年、(社)日本経済団体連合会の奥田会長は政策評価を伴う新しい形式による政治献金への関与の再開を表明して、政策評価基準の策定に取り組んできた。
この結果として、日本経団連が9月25日に発表した優先政策事項10項目は次の通り。
- 経済再生、国際競争力強化に向けた税制改革
- 将来不安を払拭するための社会保障改革
- 民間の活力を引き出すための規制・行政改革
- 科学技術創造立国の実現のための環境整備
- エネルギー戦略の確立と産業界の自主的取り組みを重視した環境政策の推進
- 心豊かで個性ある人材を育成する教育改革の推進
- 個人の多様な力を活かす雇用・就労形態の促進
- 活力とゆとりを生み出すための都市・住環境の整備
- 地方の自立を促す制度改革と活性化対策の推進
- グローバル競争の激化に即応した通商・投資・経済協力政策の推進
優先政策事項のうち、「税制改革」の中では、法人税率をヨーロッパ主要諸国並みへ引き下げることや、新事業の創出を支援するエンゼル税制の拡充を掲げた。
また、「社会保障改革」には、2003年度中に持続可能な社会保障プランを提示することや、消費税率引き上げを検討することを盛り込んだ。
「教育改革の推進」の中では、規制改革を進めて、株式会社やNPOによる学校設立、インターナショナルスクールの拡充などによる多様な教育サービスを実現しるよう提唱している。
日本経団連は、これらの項目に照らして、各政党のこれまでの政策や今秋に予想される総選挙でのマニフェスト(政権公約)を評価する。今後、評価のための具体的な手法の作成作業に入り、年明けには各政党の政策評価を会員企業だけではなく、一般にも公表する予定。
同時に、会員企業に対しては、評価結果を勘案して政党へ積極的に献金するよう促す。献金の目標額や企業ごとの献金額の目安なども決める予定だが、過去の「斡旋」の復活ではなく、あくまでも最終的な判断を各企業に委ねる「献金への関与」にとどめる。
また、今回、優先政策事項と合わせて、「政治献金は業界による利益誘導」のイメージを払拭するために、企業献金の意義を改めて整理して取りまとめた。そのなかで、政策評価にもとづく企業の政治献金の意義を、1)政策本位の政治の実現、2)議会制民主主義の健全な発展、3)政治資金の透明性向上の3点にまとめた。
「優先政策事項」の詳細と「政策評価に基づく企業の政治寄付の意義」については、(社)日本経済団体連合会のサイト内下記を参照のこと。
http://www.keidanren.or.jp/japanese/policy/2003/092.html