行政 : 環境省、環境NPOの調査実施
環境省は、10月6日、環境保全活動をしているNPOの実態調査の結果を発表した。任意団体を含めた環境団体の6割は常勤スタッフがおらず、専用の事務所を設けている団体も2割にとどまっていることが明らかになった。国に対する支援策では資金援助を求めるものが全般に多かったが、NPO法人に限ると、税制優遇措置の拡充がトップに挙げられている。
この調査は、2000年12月に閣議決定された「第二次環境基本計画」の一環として行われているもの。第一次環境基本計画に沿ったものから数えると5回目になる。今までは、20歳以上の全国の男女を対象としたものだったが、環境保全活動をしているNPOを対象としたものは今回がはじめて。
対象は、「平成13年版環境NGO総覧(環境事業団編集)」から無作為に抽出した2500団体。有効回答数は1188団体(回答率47.5%)で、2003年3月から4月にかけて郵送により実施した。
調査対象の8割は任意団体。民法法人とNPO法人はそれぞれ1割であった。
全体では、6割の団体に常勤スタッフがおらず、専用の事務所をもっているものも2割にとどまった。また、財政規模も50万円未満が5割にのぼり、環境団体の運営基盤の弱さが浮き彫りになった。
一方、法人格をもっているNPOでは、非常勤職員も含めると6割が有給スタッフをもち、5割が専用事務所を設けていた。任意団体の半数が自宅や勤務先を事務所としていることと比較すると、NPO法人で専用事務所の設置が進んでいることが明らかになった。しかし、依然として、自宅や勤務先を事務所として使用しているものも3割にのぼる。
法人格をもつNPOの財政規模では、4割が1000~5000万円、2割が300~1000万円で、50万円以下は1割未満。法人格をもっている環境団体では、運営基盤の整備がすすみつつあるが、まだ十分ではないことがうかがえる。
環境保全活動充実のための主な課題は、「資金調達」(47.7%)、「スタッフ育成」(47%)、「スタッフ確保」(45.7%)が上位占めており、“カネ不足・ヒト不足”が顕著に現れた。「会員増加」、「他主体との連携・協働」がそれに続く。
国に期待する支援策として最も多かったのは、「資金援助」(38.6%)。続いて「情報交換の場・機会提供」(28.8%)、「行政情報の提供」(27.4%)、「情報整備と情報提供」(18.1%)など情報整備に関する支援策を望むものが多かった。ほかに「スタッフ育成研修」(16.2%)や「施設・資機材の提供」(14%)などもあげられたが、「税制優遇」は13.2%と、比較的少なかった。
しかし、これを法人格別に見ると、NPO法人では、「税制優遇」(56.2%)がトップで、「資金援助」(48.3%)、「情報整備と情報提供」(23.6%)、「行政情報の提供」(23.6%)がそれに続く結果となった。