行政 : イベントでリユースカップ利用を
今年に入ってから、各地のイベントなどで、リユースカップを導入する動きが広がっている。3月に大分県のサッカー場で給食業者が導入したことを皮切りに、環境団体が中心となり、リユース容器の貸出事業を行っている。地域の祭りやイベントなどで利用することで、使い捨てカップ利用時よりも大幅なごみの削減が実現する。
リユースカップシステムとは、飲料などの容器を「回収して洗浄し、再び容器として使用する」システムのこと。容器代金を飲料代金に上乗せして販売し(デポジット制)、容器を返却した人に、そのデポジット代金を返却する方法がとられている。
ガラス瓶は重くて破損しやすく、他の容器素材に比べると、利便性の面で見劣りするが、ここ数年で、軽くて破損しにくいプラスチック容器がリユースカップとして使われるようになってきた。すでにヨーロッパのいくつかの国では、法制面での後押しもあって、急速に普及しはじめている。
財団法人地球・人間環境フォーラム(東京、岡崎洋理事長)は、2002年6月、「リユースカップの利用による循環型社会づくり」を提唱し、環境省主催の「平成14年度NGO/NPO・企業環境政策提言フォーラム」において、優秀提言に選定された。
この後、環境省の支援で、2002年9月に「リユースカップ検討委員会」が発足し、同フォーラムはその事務局を担い、その普及について、調査・検討してきた。
リユースカップを4回使用した段階で、1回で捨ててしまう紙コップに比べ、エネルギー、水の消費量、二酸化炭素や固形廃棄物の排出量等が下回るとの分析結果がでており、リユースカップは通常、20回から50回の使用に耐えうるので、大幅に環境負荷を削減することができる。
委員会のメンバーである大手給食サービス会社エームサービス株式会社では、2003年3月、大分スポーツ公園総合競技場(通称ビッグアイ)において、売店で販売する飲料にポリプロピレン製のリユースカップを導入した。
Jリーグの試合など主要イベントにおいて、今年度約20回の使用を予定している。日本ではじめての大型スポーツ施設での実現で、利用者には概ね好評だ。
こうした競技場や、コンサート会場といった大型施設では、多くの観客の目に触れるため、公告媒体としての効果があるほか、ビジネスとしても、コップを返しにきたときに飲料を追加して購入する「リフィル効果」が認められるという。
循環型社会の実現に向け、リユースカップの普及に、環境省や経産省も支援に乗り出している。
大分で導入されたリユースカップはポリプロピレン製だが、地球・人間環境フォーラムでは、このほかポリエチレンナフタレート製の容器計2400個の無料貸出事業を環境省の委託事業として展開している。申し込み者は、搬入、搬出費用を負担し、使用前と使用後には洗浄する必要がある。
また、山梨県のNPO法人スペースふうでは、お皿やお椀など、カップ以外のレンタルも手がけている。貸し出しは有料だが、使用前、使用後の洗浄・滅菌サービスも行う。経産省の平成15年度「企業・市民等連携環境配慮活動活性化モデル事業(環境コミュニティ・ビジネス事業)」にも選ばれた。
同フォーラムでは、
「地域のお祭りや学園祭、イベントなどを開催する場合、ぜひ、リユースカップの使用をご検討いただきたい。特に、野球場やサッカー場などで普及すると、波及効果が大きい。この取り組みが広がり、使い捨ての習慣の見直しにもつながればいい」
と今後の普及に努力する構えだ。
同フォーラムのリユースカップに関する報告書などは、以下のURLを参照のこと。
http://www.gef.or.jp/reuse/