行政 : 「防災士」200人が誕生
10月22日、NPO法人「日本防災士機構」(会長・貝原敏民前兵庫県知事)は約200人の初代「防災士」を認定した。災害時に地域や組織のリーダーとして危機管理にあたることが期待される。
防災士とは、防災に関する知識と実践力を身に付けたと認定された人。平常時には地域や職場で防災意識の啓発と災害時に備える安全対策にあたるほか、災害時には、警察・消防や自衛隊など公的機関による救援が本格化する前に、リーダーシップをとって被災者救助や避難所の設営、ボランティア活動の運営などにあたる。
今回、初めて防災士として認定された200余名は、定められたカリキュラムによる研修を受け、資格試験に合格した人。合格者には、NPO法人「日本防災士機構」から認定書が贈られた。
防災士制度が生まれた1番大きなきっかけは、1995年の阪神大震災。地震発生後の数日間は、災害支援のために集まったボランティアのコーディネートなどがうまくいかず、大きな混乱が起きた。さらに、東海地震や首都圏直下型地震など大きな災害の懸念も高まっている。こうしたことから、民間の防災リーダーの養成が急務と指摘されていた。
自治体レベルでは、静岡県で、1996年度から5年間、防災総合講座を修了した行政職員、ライフライン企業の社員、自主防災組織リーダーら236人が「防災士」の称号を受けている。
同県の試みなどをふまえ、防災や危機管理の情報提供を手掛けるNPO法人「防災情報機構」は、全国規模の制度化を提唱。昨年12月に基本構想をまとめ、今春、NPO法人「日本防災士機構」が発足して制度化に至った。
同機構事務局によれば、
「今回の認定者をみると、性別、年齢、居住地域、職業などが多岐にわたっている。こうした特色をいかして、認定者には、それぞれの地域、職場で、いざという時の危機管理にリーダーシップを発揮してもらって災害を乗り切ってもらいたい。
今後は防災士のネットワークを構築して、災害時に連携できる体制も整えたい。今後10年間に、数十万人の防災士を送り出すことをめざしている。」
とのことである。