行政 : アサザ基金とNECが協働
NPO法人アサザ基金(茨城県・飯島博代表)は、10月23日、NECと共同で霞ヶ浦流域モニタリングシステムを開発すると発表した。学校ビオトープを舞台に、ITを活用して生態情報を共有化し、小学生や中高生を主役としたネットワークを構築、自然環境の把握と環境教育の推進を図る。
霞ヶ浦とその流域で活動するNPO法人アサザ基金は、「アサザプロジェクト」と呼ばれる自然再生事業を推進する団体として知られる。
このプロジェクトは、絶滅危惧種に指定された浮葉植物アサザを象徴とした湖岸植生帯の復元、湖の水質浄化、水源の山林の保全などに取り組むもので、流域の住民や学校、国や市町村を巻き込んで展開されている。
アサザ基金では、10月より、NECと共同して、流域モニタリングシステムの開発に着手した。
NECには、企業の社会貢献活動として、ボランティア休暇や環境負荷をかけない事業活動だけでなく、収益をあげる企業本体の事業で、社会に還元する時代がきていると働きかけ、提携にこぎつけた。
基金では、すでに、霞ヶ浦流域の110の学校で、池をつくったり、水辺の動植物の保護や観察を行う学校ビオトープネットワークを構築している。
このうちの3校をモデル校として、NECが開発したセンサーをビオトープに設置、温度や湿度、日照時間などを定時観測するとともに、こどもたち自身が発見したトンボやカエルなど動植物の情報を、パソコンを通じて他校と共有するシステムをNECと共同で開発する。
アサザ基金の担当者は、
「これらの情報を共有することによって、他校にはきて、なぜ、自校にはこない昆虫がいるのか、なぜ自校にはこの植物が育たないのか、など深く環境問題について考えるようになる。 これらの想像範囲を霞ヶ浦流域だけでなく、日本全国さらには地球規模まで広げるためには、ITを活用することが一番効率的であると考えた。」
と話す。
こどもたちが主体的に取り組むことで、環境教育の推進を図る。
基金では、この環境モニタリングシステムを、保護する野生生物の生息範囲や渡りのルートにあわせて、関東地方、全国、さらには東アジアを視野にいれた広域ネットワークへと展開させたいとしている。