行政 : 愛知県、義務教育費を優先移譲に
11月10日、愛知県(神田真秋知事)は「三位一体改革の具体化に向けての提案」をまとめた。この提案では、国庫補助負担金のうち、義務教育費など、都道府県の関与が強く、地域や年度ごとの差が少ない部分については優先的に税源移譲すべきとしている。効果として、子育て支援などでのNPO法人の活用などをあげている。
「三位一体の改革」は、政府が進めている構造改革の一環。国から地方への国庫補助負担金と地方交付税を減らす代わりに、税源の一部を国から地方に移譲する、という三つを同時に進めていこうとするもの。権限、財源の両面で地方分権を促進するともに、行政のスリム化による財政再建することを目的としている。
今年6月、「経済財政運営と構造改革に関する基本方針2003」、いわゆる「骨太の方針」第3弾が閣議決定されたが、その内容は、国から地方への税源移譲が先送りされて、国庫補助負担金の廃止・縮減や地方交付税の抑制を先行させるものとなっていた。
これに対して、地方自治体は、国の財政再建を優先させ、そのしわ寄せを地方自治体に強いるものだと反発している。
11月10日、愛知県は、「三位一体改革の具体化に向けての提案」をまとめた。この提案の副題は、「“税源移譲による一般財源化”すべき国庫補助負担金の優先度を検討」。
三位一体の改革の基軸は税源移譲におくべきであると考え、国から交付されている全ての国庫補助金の見直しをおこない、一般財源化すべき国庫補助金の総額を約9兆円と試算した。
そのうち都道府県の関与が強く、地域や年度ごとの差がほとんどない部分については優先的に移譲すべきとし、義務教育費の約2兆8000億円を含めた約4兆3000億円を優先移譲の対象とした。
また、税源移譲によって得られる効果として、義務教育では学級編成や教員定数などに自主性が発揮できることによって少人数学級が可能になる、子育て支援では事業委託先の制限がなくなることでNPO法人を活用した幅広い支援が可能になる、などを挙げている。
他方、税源移譲による一般税源化では必要な財源確保が困難なものとして、災害による臨時的な巨額な財政負担などを挙げ、国庫補助負担金として存続させることを提案している。
愛知県は、11月11日、この提案を総務省や財務省に提出した。