行政 : 経産省、企業OBデータベース開設
政府は、10月28日、「企業等OB人材マッチングサイト」を開設した。大企業や中堅企業OBで、現役を退いた後も培った技能、ノウハウを社会の役にたてたいという意欲をもつ人材約1000人分の情報がデータベース化されており、NPOも利用できる。
この事業は、政府が2002年6月に発表した、「経済財政運営と構造改革に関する基本方針2002」(骨太の方針)の経済活性化戦略の一環。
中小企業の支援策として、公認会計士や中小企業診断士といった専門家や学識経験者にとどまらない外部人材の活用ができる環境整備が必要、との認識を示していた。
こうしたなかで、経済産業省・中小企業庁は、2003年4月、「企業等OB人材活用推進事業」を中小企業総合事業団と日本商工会議所に委託。
商品開発、マーケティング、新規事業開拓など、経営戦略の見直しや新事業を展開するために人材を必要としている中小企業やベンチャー企業と、退職後も自らの知識・経験などのノウハウを活かしたいという意欲をもった企業OBのマッチングを支援する事業を開始した。
日本商工会議所は、同会議所内に「企業等OB人材マッチング全国協議会」を設置し、今年度は都道府県庁所在地(もしくは幹事商工会議所)の商工会議所21箇所と連携して、「地域協議会」を設置、OB人材の発掘作業を進めていた。
現在の情報は約1000人分だが、今年度中に2000人を目標にHP上で公表する予定だ。
開設されたデータベースは、「企業等OB人材マッチングサイト」。この事業そのものは、中小企業支援が目的だが、NPOも利用できる。
登録された人材情報は、「経営企画・戦略立案」、「海外展開・国際化」、「情報化・IT活用」、「 販売・マーケティング」、「 技術・製品開発」、「経理・財務管理 」、「人事・労務管理」など、人材を求める事業体のニーズにあわせて検索が可能となっている。
また、経験業種や、保有資格、居住都道府県などの条件も入力することができる。
検索の結果、条件の折り合う人材情報があった場合、各地の地域協議会や全国10箇所に指定されたマッチング組織に連絡をとり、双方が合意した場合に、OB人材が派遣される。
派遣期間や報酬、交通費の支給の有無などは、両者の合意で決定されるとのことであるが、日本商工会議所によると、
「OBが登録をする動機の多くが、報酬の多寡よりも社会へ貢献することに意義を感じているので、あくまでも両者の交渉によるが、ボランティア的なものも多くなるのでは」
ということだ。
今後は、人材情報を全国から収集できるように地域協議会を順次増やしていくほか、中小企業・ベンチャー企業の支援ニーズを探すOB向けのデータベースを構築したり、外部人材を登用して成功した事例などもHP上で公開していく予定。
「企業等OB人材マッチングサイト」は以下のURLから見ることができる。
http://search.ob-jinzai.jp/