行政 : NPOがアフガンで茶栽培
アフガニスタンで医療・農業支援活動をおこなっている、ペシャワール会(福岡市・高松勇雄会長)は、鹿児島県農協の協力を得て、11月14日までに県内の茶園で55キロの茶の実を集めた。12月には現地に運び、農地回復のための茶栽培に取り組む。
NPOのペシャワール会は、パキスタンでの医療活動を支援する目的で結成され、1984年より現地活動を開始した。現在、パキスタンとアフガニスタンで1病院と4診療所を運営している。
さらに、2000年夏からは、戦乱についで干ばつに見舞われたアフガニスタンで、井戸などの水源確保作業を継続してきた。
アフガン空爆の2001年10月には「アフガンいのちの基金」を設立し、アフガニスタン国内避難民への緊急食糧配給を実施。現在は、その基金をもとに、総合的農村復興事業「緑の大地計画」に取り組んでいる。
アフガニスタンでは、ここ数年の干ばつと戦乱によって、小麦やとうもろこしの農地は壊滅状態。かわって、干ばつに強く換金性の高い作物として、アヘンの材料となるケシの栽培が横行している。
今年10月、同会は、ケシに変わる作物としての茶栽培に取り組むために、鹿児島県農協茶業営農指導員会に協力を呼びかけた。
生産者や農協職員の協力によって、14日までに55キロの茶の実が、県内各地の茶園で拾い集められた。集められた茶の実は、12月にアフガニスタンのダラエ・ヌール渓谷の農村に運ばれ、茶栽培に取り組む。
出身地の鹿児島県の農協に呼びかけをした、ペシャワール会の福元満治理事は、
「タリバン政権ではアヘンの材料になるケシの栽培は禁止されていた。しかし、政権崩壊後、貧困と混乱のなかで、換金性の高いケシの栽培が始まった。現在、世界のアヘン市場の8割がアフガニスタン産だと言われるまでになり、国際的にも問題になっている。
アフガニスタンの人たちは、乾いた気候の中で、たくさんのお茶を飲んでいる。飲んでいるのは日本でいうところの緑茶。
しかし、これまでは、土壌や天候が茶栽培に不向きだとされ、お茶はインドや中国からの輸入に頼ってきた。土壌を改良して、気候に合った茶の種が見つかれば、ケシ栽培にかわる作物として定着するはず。
今回、多くの人たちの協力によって、いろいろな種類の茶の実が集まった。鹿児島産の茶のいずれかが、アフガニスタンの土地に根付くことを期待している。」
と抱負を語った。