行政 : 引退した補助犬の老犬ホーム
NPO法人「日本サービスドッグ協会」は、12月13、14日、大阪で、引退した盲導犬、介助犬、聴導犬を引き取る老犬ホーム建設のための街頭募金をおこなう。補助犬法の施行によって補助犬の頭数が増えるなかで、障害者が安心して補助犬が飼える体制づくりを目指す。
昨年10月に施行された身体障害者補助犬法は、身体障害者のパートナーである盲導犬や聴導犬、介助犬の同伴を、公共施設や交通機関などが拒むことを禁じる法律。今年10月1日からはホテルやレストラン、百貨店など不特定多数が利用する民間施設にも適用されることになった。
現在、国内には盲導犬が927頭、介助犬が37頭、聴導犬が15頭いるが、補助犬法によって、今後その頭数が増えることが予想されている。
盲導犬の場合、生後1歳から育成センターで訓練され、2-10歳ごろまで、視覚障害者のために働く。引退後は育成センターが引き取って里親を探すことが多いが、引退する盲導犬の数がふえるにつれ、育成センターの負担が大きくなってきている。
一般に、補助犬は、飼い主である障害者以外の命令には従わないように、また、他の犬に反応しないようにしつけられるため、引退後に新しい補助犬と同居したり、別の家族の世話になったりすることが難しいといわれている。また、引退した犬がいると、新しい補助犬がいつまでも仕事に慣れないこともあるという。
そのため、生活をともにしてきた補助犬の行く末を案じて、年老いて補助の仕事が充分に出来なくなってきてからも、新しい補助犬を飼うのをためらう障害者もいるそうだ。
こうした問題を解決するために、今年9月に、NPO法人「日本サービスドッグ協会」(奈良県・今西純一理事長)が設立され、補助犬の普及を推進するために、その引退後をケアする活動に取り組んでいる。
日本サービスドッグ協会は、引退後の補助犬が余生を送るための個室の飼育施設「老犬ホーム」の建設を計画中。施設では、以前の飼い主がいつでも面会できるようにして、あわせて里親探しの拠点にもする予定。
同協会は、老犬ホーム建設への理解と支援を目的として、12月13日、14日の両日、大阪難波高島屋前で街頭募金をする。
今西純一理事長は、
「補助犬育成の体制は整いつつあるが、引退後の犬については充分な取り組みがなされていない。補助犬と暮らす障害者にとって、犬はかけがいのないパートナーだけに、その余生は大きな気がかりとなる。最期まできちんと面倒を見る体制が整うことで、補助犬の育成と普及につながればいい。」
と語った。
日本サービスドッグ協会のホームページは下記。
http://www.yamatoji.com/