行政 : 宮城県で官設民営型基金創設
宮城県は、1月7日、NPO活動を促進するため、「みやぎNPO夢ファンド」を創設すると発表した。基金は、せんだい・みやぎNPOセンターが事務局となって運営している「地域貢献サポートファンドみんみん」内に設置する。行政が、公益信託ではなく、民間団体内に基金を開設するのは全国ではじめて。
「地域貢献サポートファンドみんみん(通称「みんみんファンド」)」は、NPO法人せんだい・みやぎNPOセンターと、宮城県内の企業・団体15社が共同で運用している「サポート資源提供システム」の資金支援プログラムとして2003年7月から運用が開始されたもの。
事務局はせんだい・みやぎNPOセンターが担っている。
宮城県では、NPOの支援のあり方について「条例による基金案」(2001年度)や、信託銀行と提携する「公益信託による基金案(2002年度)」などを検討してきたが、いずれも実現にいたらなかった。
信託銀行との調整が不調に終わった県は、2003年11月に「基金をみんみんファンド内に設置できないか」とせんだい・みやぎNPOセンターに打診。
同センターでは、同月20日、「宮城県NPO活動促進基金のあり方に関する提言書」を県に提出。厳しく基金のあり方について注文をつけたうえで、同ファンド内には、基金の拠出者の名前等を冠して継続的な資金提供を行う「冠ファンド」があることから、最終的には「民間企業と行政を区別する理由はない」と考え、このたびの基金設置に同意した。
冠ファンドとしては、「ふくふくファンド(設置者:宮城県労働者福祉協議会)」、「ろうきん地域貢献ファンド(設置者:東北労働金庫宮城県本部)」に続く3件目となる。
行政のNPOへの資金支援のあり方について、同センターは、「先行している民間基金と競合しないようなインフラ整備的な支援に重点を置くこと」や、「基金運用の方針と責任体制の決定までに市民参加のプロセスを経ること」、「最終的な責任は県が主体となって負うこと」、「3年毎の基金運営方針の見直すこと」などを提案した。
これを受けて宮城県では、「地域のNPOがより活動をしやすくなるような環境整備への支援」、「個々のNPOが、継続的・安定的に公益活動を展開するための支援」、「活動の裾野を拡げるための新規団体立ち上げ支援・ステップアップを目指す新規事業支援」に重点を置くことを理念とすると発表した。
「みやぎNPO夢ファンド」には、県が03年度中に1500万円、04年度から10年度に500万円ずつ、計5000万円を拠出する。これに県民、企業等からの寄付を合算して助成の原資とする仕組みだ。
募集は3月までに開始、04年度からの支援となる。
「みんみんファンド」の助成を受けるためには、同センターが運営する「NPO情報ライブラリー」に登録することが必要。現在県内約80団体が、設立経緯や今後のビジョン、企業や行政との協働実績、会員数や財政状況について情報発信している。
「みやぎNPO夢ファンド」もこの規定に従うことになる。同センターでは、「応募団体はライブラリーに登録していなくてもよいが、支援が決定した場合は、登録、情報公開してもらうことになるだろう。税金がどのような団体に使われたかを広く公表し、評価される仕組みとしても利用してもらえる。」と他の基金とのちがいを強調する。
また、みんみんファンドには、寄付者の想いを活かした資金提供を行うために、多様な寄付の受け皿が準備されており、例えば団体指定や、分野指定が可能だが、今回の夢ファンドが加わることによって、立ち上げ期にある団体や安定的なサービス提供を支援したい人などにとっては、選択の幅が広がることになる。
「寄付者にとっても、支援メニューが増えることになる。」と同センターでは、今回のファンドの意義を語った。
「みやぎNPO夢ファンド」の設立経緯などについては以下のURLを参照のこと。
http://www.minmin.org/fund/miyagifund200401.htm