行政 : 村営のカヌー工房NPOに衣替え
埼玉県入間郡の名栗湖で展開されてきた村営の「名栗カヌー工房」が、4月からNPO法人による運営に切り替わりそうだ。NPOが運営することで、経営の効率化とソフトの充実が期待できる。
名栗村は、昨年の12月、村営の「名栗カヌー工房」を第三者に運営委託する方針を決定。昨年9月の地方自治法の改正で創設された、指定管理者制度を活用したかたちだ。3月にも正式に運営団体が決定するが、今までの実績を考慮し、カヌー工房のスタッフやボランティアで組織するNPO法人が運営することになりそうだ。
名栗カヌー工房は、カヌーに乗るだけでなく、ウッドカヌーを製作することのできる場所として日本でも草分け的存在。多くのアウトドア愛好家や、木工製作家がこの場でカヌーづくりを楽しんできた。
カヌー工房の特徴は、木材産地として発達した名栗村の「西川材」を利用していること。西川材のスギを使えば、輸入材に比べて材質が柔らかく軽くて丈夫なカヌーができるという。既製品を購入した場合の半額程度で製作できるうえ、手作りする過程自体を楽しめることが大きな魅力となって、ひとりで何艇もつくる人がいるほどの人気だ。
ほかにも、小・中学生の体験学習の場として、カヌー漕艇実習が行われたり、カヌーに犬と飼い主と一緒に乗ることのできる「カヌー犬教室」が開かれたりと、さまざまなプログラムが用意されている。
しかし、2005年1月には飯能市との合併を控えていることもあって、村直営ではなく、第三者に委託することになった。
名栗村によると、
「村営ということで、条例に縛られて、柔軟な経営ができない部分があった。たとえば今までは、カヌー教室の指導が条例の範疇にないので、カヌー協会に委託するなど、非効率な面を生んでいた。これからは、それらを一体的に直接行うことができるようになるので、経営の効率化が期待できる」
という。
2月に認証を受けたばかりのNPO法人「名栗カヌー工房」に新しく加わったスタッフは、
「村営でなくなることによって、もっと幅広く、広報、営業活動もできるようになる。今後は名栗川の源流と下流の交流事業や、障害をもつ人のカヌー体験など、提供するプログラムをもっと多彩なものにし、名栗村全体の活性化につなげたい。」
と意気込んでいる。
今まではどちらかというとアウトドア志向の人向けの施設として知られてきたが、最近は定年後の夫婦などが木工製作にはまってたびたび通うようになるなどの傾向も見られる。プログラムの多様化により、こうした層の利用を促進することも視野にある。
そのような努力で、子ども向けのプログラムなどは、なるべく値上げせずに運営していく方針だ。カヌー工房では、今後の運営について
「村の委託費だけに頼らず、資金調達の自由度も高まる」
と前向き。ソフトの充実に力を注ぎ、利用者や支援者を増やしていく。
名栗カヌー工房のHPは以下のURLから見ることができる。
http://homepage3.nifty.com/naguri_canoe_koubou/