行政 : 東京都、ホームレス支援事業
2月16日、東京都(石原慎太郎知事)は、平成16年度から公園でテント生活をするホームレスに低家賃の借上げ住居(都営住宅、民間アパート)を貸し付け、自立した生活に向けて支援するための取組を始めると発表した。入居者に対しては、ホームレス支援のNPOから指導員が付き、生活をバックアップする。
東京都福祉局の調査では、昨年8月時点で、全国のホームレスは25000人。そのうち5500人が23区内で路上生活を送っている。
都は、緊急一時保護センター(都内2施設、定員400名)と自立支援センター(都内4施設、定員36名)を設置してホームレスの自立支援を続けてきたが、こうした施設での生活を拒否する人たちもいる。
そのような人たちは、空き缶回収などで食費などのための収入を得ながらも、居住費の負担は困難で、公園などにダンボールやビニールシートで作ったテント生活を続けている。その数は、都の調査では約2400人とされている。
近年、このようなテント生活を送るホームレスが被害者、加害者になる事件も発生し、公園利用者や近隣住民からも解決が求められている。
2月16日に都が発表した「ホームレス地域生活移行支援事業」は、テント生活を送るホームレスを対象として、民間アパートや都営住宅を借り上げて低額で賃貸する。入居期間は原則2年間。その間、自立した生活に向けて就労機会の確保や生活相談等を行う。
都の計画では、2年間で2000室を確保し、家賃は月額3000円程度。新年度より順次実施する予定。
また、入居者には指導員を付けて、巡回による就労・生活相談とともに、近隣住民とのトラブルがおきないように対応する。この指導員については、ホームレス支援活動をおこなっているNPO法人に協力を求めていく。
都の福祉局の担当者は、
「まずは、テント生活者の多い都心部の公園のホームレスを対象にして説明や相談を始めるが、少しずつ範囲を広げて、駅前、川岸などで路上生活を送るホームレスも対象としていきたい。事業実施にあたっては、ホームレスの実情を理解しているNPOの協力が不可欠だと考えているので、連携してこの事業を進めていきたい。」
と話している。