行政 : 品川区、NPOと防犯システム開発
2月5日、東京都品川区(高橋久二区長)は、子どもが犯罪に巻き込まれそうになったとき、防犯ブザーを押せば居場所がわかり、近くの住人や警察官らが駆けつけるという防犯システムを構築すると発表した。このシステムは区内のNPO法人と協働で開発し、2005年度中に区内全域に張り巡らす予定。
品川区が計画しているシステムは、障害物があっても最低半径50メートル先まで届く防犯ブザー付き発信端末と、警察署や商店、住宅などに置かれる無線受信機付きディスプレイ端末、システムを集中管理するセンターからなるという。
事件などに遭遇した子どもが防犯ブザーを押すと、音が鳴るとともに電波を発信し、周辺に設置された複数の無線機が感知する。無線機によるリレーでセンターに情報が伝達され、センターは居場所を特定して、現場に近い警察署や商店、住宅などの無線受信機付きディスプレイ端末に子どもの位置を示す。
子どもがブザーを押してから、場所を特定して、事件発生現場の近所に異状を知らせるまで10秒前後しかかからないという。
品川区が開発を委託するのは、区内を中心にした中小企業の社長ら36人で作るNPO法人「ものづくり品川宿」(鵜飼信一理事長)。社会の要請に応える、元気なものづくり社会の実現に取り組む目的で設立され、2003年2月にNPO法人として認証されている。
子どもが被害に遭う事件が続くなか、音だけでは防犯効果は低いとして、現場近くの人が駆けつけ被害を防ぐ「近隣セキュリティーシステム」を考案した。それを区が採用して、正式に開発を委託することになった。
2004年度に試作品を作って実証実験を行い、05年度の実用化を目指す。
品川区産業振興課の担当者は、
「この防犯システムは、来年度からはじまる医療費支給の小学生への拡大など、品川区の施政方針である『子育ては品川区で』と合致したものだ。子どもが犯罪に巻き込まれた際に、地域の人が駆けつける仕組みを作るためには、市民との連携が不可欠。
区内の自治会やNPOなどの協力を得ながら、このシステムを構築していきたい。『品川ブランドの技術』として全国的に採用されるようなものになればと考えている。将来的にはお年寄り、障害者などにも応用できるものとしていきたい。」
と抱負を語った。